定年後「月に10万円」稼げるのはどんな仕事? 老後2000万円問題の不安を解消する「小さな仕事」

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“ちゃんと”の金額

 高齢者にも働き口は十分あり、“稼ぐ”のが可能であることはすでに説明した通りです。残る問題は“ちゃんと”の部分です。

“ちゃんと”を、現役時代並みと考える必要は必ずしもありません。安定して暮らせるように稼ぐという観点では、「1人月10万円」を目安に考えてほしいと思います。

 総務省の家計調査によると、60代、70代の純貯蓄額(貯蓄から負債を引いた額)の中央値は約1500万円となっています。そしてさまざまなデータを分析する限り、60代と70代で純貯蓄額にあまり変化は見られません。つまり、多くの世帯は貯金を取り崩すことなく生活しています。従って、この状態を長く続けることが、「長寿リスク」に対する効果的な方法ということになります。

月10万円稼げば貯金も可能

 では、どれだけ稼げば貯金を取り崩さずに生活できるのでしょうか。

 やはり家計調査に基づき、例えば65~74歳の夫婦2人(無職)の平均的な家計簿を見てみると、月の平均支出額は33.4万円で、年金や保険による収入額は26.5万円。差し引き約7万円の赤字です。ということは、月10万円稼げれば、赤字になるどころか貯金していくことも可能になります。夫婦2人であれば月20万円から30万円となり年金の給付を受けなくてもやっていけるでしょう。この1人月10万円の収入を得ることが、本稿で取り上げる“ちゃんと稼ぐ”の定義です。

 月10万円の収入を得るには、時給1000円換算で月に100時間働けばいいことになります。1カ月を4週で換算すると週に25時間で、フルタイムであれば週3日程度、毎日働くとすると1日5時間です。将来的に時給水準が上昇することを踏まえれば、これよりも少なくてもかまいません。決して無理して働く必要はなく、それでも定年後を豊かに、そして幸せに過ごせることが実感できると思います。こうした定年後の働き方を、私は「小さな仕事」と呼んでいます。

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