【中学受験・夏のメソッド】「プリントやテキストを“積み上げる“のではなく…」 全国5000塾に取材したプロが明かす「夏に伸びる子」になるための4つの方法
いくら使い古されているといっても、「夏を制する者は受験を制す」という言葉を侮ってはいけない。こと中学受験を間近に控えた「小6の夏」は、過熱する中学受験を勝ち抜くために、さらにはその先の将来のためにも、大きな意味を持つのである。この天王山をどう乗り越え、合格への足がかりを作るか。全国5000にも及ぶ塾の関係者を取材してきた教育ジャーナリストが、「夏に子どもを伸ばす方法」について実用的かつ現実的なアドバイスを送る。(西田浩史/追手門学院大学客員教授、学習塾業界誌『ルートマップマガジン』編集長)
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まずお伝えしておきたいのは、この夏に学習したことは、中学受験だけでなく、中学入学後の学習姿勢にも大きく影響するということだ。特に国語と算数(数学)。大学入試における一般選抜、または推薦型、総合型などの入試でもカギになる教科であり、中学入学後も見据えて丁寧に学習したいところでもある。
あるいは、仮に中学受験でうまくいかず3年後の高校受験でリベンジを果たす場合でも、この夏に培われた力は絶対に無駄にならない。東京の大手高校受験塾によれば、中学受験では日能研の偏差値が50台であったところから、猛勉強によって高校入試では早慶附属、日比谷などの名門高校に合格した例も珍しくないという。
夏に伸びる子の共通点とは
そんな“心の余裕”も持っていただいた上で、「中学受験の夏」の攻略法について考えていこう。
そもそも、夏に学力が伸びる子の共通点とは何か。多くの塾関係者が力説するのは、まず親や塾による徹底したスケジュール管理がなされている子である。夏に伸びる子は、基礎学習から過去問の実践学習までやることが明確化されているなど、ルーティーンがシンプルなのだ。子どもは、やることが単純かつ明確であればあるほど、やる気がみなぎりやすいという。
加えて夏に伸びる子に共通するのは、勉強のモチベーションを維持できている点である。その意味で多くの塾関係者がすすめているのが、「これを夏にやろう!」と決めたテキストやプリントを、あえて部屋のわかりやすい位置に置いて、それが減っていくのを楽しませる方法だ。自分の頑張りが目に見えた成果として表れるだけでなく、「減っていく」という感覚がモチベーションに繋がりやすいのだという。本命校と併願校の校舎の画像をプリントアウトして貼っておくのも、気持ちを高める意味でおすすめだ。
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