TBSのように「参政党」の主張を真っ向から批判することが“逆効果”な理由 「政治家より党員の発言力のほうが強い」という組織の実態とは
ニッチな政党
さらに党の公式サイトには「親日本憲法(構想案)」を掲載しているが、専門家の間では「国民主権を否定しているほか、徴兵制を念頭に置いている可能性もある」と内容に憂慮する声が根強い。
ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「参政党の結党時を知る関係者から話を聞いたことがあります」と言う。
「参政党の結党メンバーの中に、元共産党員や共産党の元シンパがいたそうなんです。そのため参政党は共産党の組織作りを参考にしたところがあり、具体的には党員の獲得に力を注ぎました。自民党は政治家の力が強く、党員は関係団体の職員が名前だけ貸すことも珍しくありません。一方の参政党は党員の発言力が政治家より強く、これは旧ソ連や中国共産党を彷彿とさせます。その結果、何が起きたかと言えば、党員の要望がストレートに党の主張になるため、公約や政策が非常に雑多で粗雑なものになっています」
参政党がネットを効果的に活用し、党員や支持層を上手に集めていることはよく知られている。だが井上氏は、その手法はいつか限界を迎えると指摘する。
「本質的に参政党はニッチな有権者を掘り起こして党員とし、ニッチな政策を主張して注目を集めてきました。結局のところ、今の“日本人ファースト”でさえもニッチなキャッチフレーズに過ぎません。今後の参政党が今以上の注目を集める政党になったとしても、有権者の過半数が本気で外国人を排斥しようと動くことはないでしょう。今回の参院選で参政党は人気の“上限”を迎えたと見るべきであり、これからは参政党に批判的な声もネット上に多く投稿され、拡散していくと考えられます。もし本気で参政党の伸長に危機感を覚え、参政党の躍進にブレーキをかけたいのなら、まともに反論するとむしろ参政党を利することになります。なぜなら真正面の批判は“弾圧だ”と党員やシンパを団結させるからです。参政党を批判するために最も有効な方法は無視することではないでしょうか」(同・井上氏)
[3/3ページ]

