「高速道路での逆走など外国人の事故が急増…」 参院選の争点・外国人問題のリアル 「国保の納付率は非常に低い」

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〈わずか90日の滞在で数千万円相当の高額療養費制度を受けられる〉

 同じく、われわれにも身近な問題が「医療費」である。先述した通り、SNSでは医療に関して“外国人がただ乗りしている”といった投稿が散見される。2023年度の国民健康保険の被保険者数は2378万人。留学や就労などで在留期間が3カ月を超える外国人には国保への加入義務が生じるため、被保険者数のうち4%にあたる97万人を外国人が占めている。総医療費で見ると外国人の割合はわずか1.39%にあたる1240億円。ところが、国保の納付率は全体で93%なのに対し、外国人に限れば63%と3割も少ないのだ。

 また高額療養費制度についても今年2月、国民民主党の玉木雄一郎代表が、

〈外国人やその扶養家族が、わずか90日の滞在で数千万円相当の高額療養費制度を受けられる〉

〈社会保険料は、原則、日本人の病気や怪我のために使われるべきです〉

 などとXに投稿し、物議を醸していた。

外国人の納付率が低い理由

 社会保障や医療政策に詳しい東海大学健康学部健康マネジメント学科の堀真奈美教授が言う。

「医療目的で入国する方は『医療滞在ビザ』が必要で、この場合、日本で医療を受ける際には全額自己負担となります。従って保険診療を前提とする高額療養費制度の対象にはならず、“3カ月の滞在で数千万円相当の医療を受けている”というのは非常に極端なケースだと思われます。ただし悪徳ブローカーが介在したり、制度の抜け穴を突いて不正利用したりする可能性もゼロとは言い切れません」

 先ごろ厚労省は、在留外国人の国保加入を促す目的で、保険料を前納できる仕組みをスタートさせる方針を固めた。来年4月の開始を目指しているというのだが、外国人の納付率が低い理由について堀教授は、

「2025年問題、つまり今年、団塊の世代がすべて75歳に達し、国民健康保険から後期高齢者医療制度に移るわけですが、国保はもともと収入が不安定な層が多く加入し、収入に対し保険料が高くなる傾向にあります。国庫負担がありますが、被用者保険のように雇用主負担はなく、家族分の支払いもあり、市町村で金額も異なるなど制度が複雑です。今後、国保に占める外国人の割合は高まると思われますが、保険の必要性や負担について理解し難いと感じている人もいるかもしれません」

 そう推測しながらも、次のように説くのだ。

「目下、エッセンシャルワーカーをはじめ外国人の労働力なしには社会が成り立たない状況になりつつあります。医療の問題は冷静に、エビデンスに基づいて考えるべきだと思います」

 後編【「外国人に甘過ぎる『免税制度』を廃止すれば1600億円の税収増」 外資による土地買収など外国人問題のリアルに迫る 「有事の際に『敵対勢力の活動拠点』に」】では、外資による土地買収など、外国人問題のリアルについてより詳しく報じる。

週刊新潮 2025年7月24日号掲載

特集「天下分け目の7.20参院選 日本人ファーストでデマも飛び交う外国人政策『4つの大問題』」より

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