台湾有事は「27年が危ない」 与党の権力中枢にまで中国スパイが浸食… 台湾の危険な情勢を、日台交流の重鎮が明かす
【前後編の後編/前編からの続き】
世界各地で戦争が勃発している状況下で、次に危惧されるのが台湾有事だ。軍備増強にひた走る中国は、あからさまに台湾周辺で軍事的な挑発を繰り返す一方、「スパイ」と「偽情報」で台湾統一を画策しているという。日台交流の重鎮が、台湾有事の実情を警告する。
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前編【「中国からスパイ活動のための工作費用をもらっている」疑惑が 台湾野党への「大リコール運動」が激化】では、野党・国民党の議員が大陸と交流を進めていく中で利益を得ているという疑惑を巡って、現地の政情に混乱が生じている問題について報じた。また、日台スポーツ・文化推進協会理事長の松本あや彦氏(85)に、日台交流の歴史について聞いた。
中国は、「一国二制度」を必ず守ると明言しておきながら、2020年に香港国家安全維持法を成立させ、その約束をほごにした。そうした先例があるので、蔡英文総統は中国の言う「一国二制度」の受け入れを拒否し、それが20年、2期目の総統選での勝利につながった。
以来、習近平国家主席は、統一のためには武力行使の選択を放棄しないと主張し始め、軍事的な圧力をかけるようになる。
「挑発行為にも慣れっこに」
台湾近海で実戦さながらの演習を繰り返し、中国海警局の艦船は台湾海峡の中間線にも関係なく台湾側に侵入しているのだが、
「私が台湾の人たちと話をしていて危惧するのは、そうした挑発行為にもやや慣れっこになってしまって、あまり気にしていないということなのです」
と、松本氏は言う。
「実は、台湾には中国共産党のスパイがたくさんいる。民進党の要人の秘書や軍にもスパイが入り込み、内部から揺さぶりをかけています。また、大陸から多くの花嫁が台湾男性に嫁いでいるが、彼女たちが工作の一翼を担っているともいわれている。中国共産党の工作員は、いざとなったらアメリカや日本は台湾に協力しない、中国と一緒になった方が得だと盛んに吹き込んでいるのです」
与党の権力中枢まで侵食する中国スパイ
今年1月、台湾陸軍の退役軍人7人が国家安全法違反で起訴され、さらには4月、総統府の元顧問ら民進党の関係者5人がスパイ容疑で摘発されている。
台湾の情報機関が発表した報告書によると、24年にスパイ事件に関わったとして起訴されたのは64人に上り、このうち軍関係者は43人であったという。
中国は与党民進党の権力中枢まで侵食しているが、国民党も「反共」とは言わなくなった。
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