事実婚で娘が生まれた、けれどもやっぱりクズはクズ…? 45歳男性が崩れ落ちた “妻”からの非情5文字
【前後編の後編/前編を読む】髪を洗って爪まで切って、ご奉仕もするヒモ暮らし… 四十手前の「クズ男」を動かした女性の言葉
横河拓真さん(45歳・仮名=以下同)は自称“クズ男”である。小学生のころから学校生活になじめず、大学時代にはジャズ喫茶やクラブに入り浸るようになり、「酒と女」の日々を送るように。音楽と写真に一応の関心はあったものの、女性たちの間を転々としながら、ほとんどヒモのように暮らした。だが、30半ばで大けがを負った際、複数いた女性のひとりだった真希子さんから「自立しなさい」と説教されたことで、生活に変化が。自分のような適当な人間は、こういう女性といるべきだ、と思ったという。
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【前編を読む】髪を洗って爪まで切って、ご奉仕もするヒモ暮らし… 四十手前の「クズ男」を動かした女性の言葉
退院後、拓真さんは真希子さんの家に直行した。手をついて「一緒に暮らしてほしい」と頼んだ。
「彼女は『結婚する?』と言いました。でもオレはどうしても結婚届を出すことに抵抗があった。どうして男と女が一緒にいるだけじゃいけないんだ、国に届けてどうなるんだという思いを昔からもっていた。それを真希子に言ったら『わかった』と。ただ、これからは自立して、毎月ちゃんとお金を入れてと言われたから、それは承諾しました。オレにはやっぱり音楽と写真しかないから、あちこちに頭を下げてどんどん仕事を回してもらった」
彼が36歳当時、真希子さんは27歳。彼の友人たちはともかく、真希子さんの友人知人はみんなこぞって反対したという。結婚もせず、定職もない男と、どうして若い真希子が一緒にならなければいけないの、ぼろぼろにされるだけでしょ、と。
「真希子の友人に会ったことがあるんですが、そうやって責められました。若い女性たちにぎゃあぎゃあ言われたけど、『真希子はオレの命だ』と言ったんです。そうしたらみんな黙っちゃって……。真希子は『バカね』と赤くなってました。でも当時、オレは本当にそう思っていたんです。彼女のためなら何でもしようと」
妊娠。子どもはかわいかったが…
それから1年間、彼は真希子さんの信頼を得るべく、必死に働いた。働くだけではなく、一緒にあちこちに行った。美術館や映画館、先輩から譲り受けた中古の車を駆って、少し遠出もした。真希子さんも、彼といると今まで知らなかった世界を知ることができると喜んでいたという。
そして真希子さんの妊娠がわかった。産みたいという彼女に「ごめん、婚姻届は出せないけど認知はする」と彼は答えた。それでいいと彼女は言った。彼はますます精力的に仕事をした。
「生まれたのは真希子にそっくりなかわいい女の子だった。メロメロになりました」
ただ、その感情は1年ほどしか保たなかった。子どもはかわいかったが、心のどこかで「母」になってしまった真希子さんに複雑な感情があったという。
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