事実婚で娘が生まれた、けれどもやっぱりクズはクズ…? 45歳男性が崩れ落ちた “妻”からの非情5文字

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外れた「オレの予想」

「今じゃ本当に孤独に暮らしています。女性に声をかけようかなと思っても、真希子の声がよみがえってくる。つまらない、と。さてこれからどうしようか、どうしたらもう一度、真希子におもしろいと思ってもらえるのか。まあ、オレが変わったところで、真希子が惚れ直してくれるかどうかはわかりませんが……」

 軽い調子で言ったが、おそらく彼は自分が真希子さんに捨てられるとは思っていなかっただろう。なんだかんだ言っても、ふたりの縁は切れないと信じていたはずだ。

「お互い、相手に飽きていたんでしょう。でも、そういう時期ってあると思うんですよ。長いことつきあっていれば。そんな時期を経て、これからまたきっといろいろあって、年老いたときは一緒にいるというのがオレの予想だったんですけどね」

 真希子さんを甘く見ていたわけではない。娘の母としてリスペクトもしていた。今は違う方向を向いているかもしれないが、いつかまた大人の男女の関係が築けると根拠なく信じ込んでいた。

「週に何度かは娘と連絡をとっているし、真希子とも電話やメッセージでやりとりはしています。でもなんだか、ふたりとも遠くなっちゃったなという感じ」

 まじめに人生を考えるべきだと課題をつきつけられた拓真さん。一応、本人も今度こそちゃんとすると言ったが、彼の「ちゃんとする」の基準があいまいなため、何を目指しているのかは最後までわからなかった。

「やっぱりクズだと思ったでしょ」

 そう言って歩き出した彼の背中が、しょんぼり丸まって見えた。

 ***

 ヒモ暮らしの末に、ようやく真希子さんと出会い、“改心”したと思ったのだが……。拓真さんが送ってきた「酒と女」の若き日は、【記事前編】で紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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