“女児盗み撮りグループ”の小学校教師が逮捕…“執行猶予”でも10年前まで性犯罪歴を確認できる「日本版DBS」は卑劣な犯行を阻止できるか こども家庭庁の見解は

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“日本版DBS”に集まる期待

「DBSはイギリスの内務省が所管している公的機関の名称で、主な業務は2つあります。1つは雇用者に対して求職者の犯罪歴を開示することです。有罪という事実だけでなく、裁判の経緯や警察の持つ人物情報も含まれており、この開示資料を活用しながら雇用者は求職者を採用するかどうかを決めます。2つ目は子供と、高齢者、病人、障がい者などの『脆弱な大人』に接する仕事に就くことを制限された人間、約8万人を超えるリストの作成と管理です。過去に犯した性犯罪の内容から教育、医療、介護、さらに警備などの就業を禁止しています」(同・記者)

 日本の場合は、こども性暴力防止法が昨年6月に可決し、2026年12月の施行を目指している。もし施行された場合、幼稚園と保育所、小中高校、児童養護施設、障がい者施設などでは“日本版DBS”の制度に従い、性犯罪歴の確認が義務づけられる。

 さらに学童保育や学習塾、スポーツクラブなどでは申請して認定を受けると性犯罪歴の照会が可能になる。認定事業者は公表されるため、保護者や子供からの信頼度が上がることになる。

 こども性暴力防止法は、教員による性加害の抑止力として機能するのか、こども家庭庁に取材を依頼した。

法律は抑止力になり得るのか?

「来年12月からこども性暴力防止法が施行されると、性加害によって懲役や禁錮といった拘禁刑が執行された場合は執行から20年、執行猶予や罰金刑の場合は10年の間、性犯罪歴の確認が可能になります。現在、教育機関などでは過去の犯罪歴を隠して勤務している職員もいると推定されます。防止法が執行されれば各機関が性犯罪歴を確認することになりますから、過去に性加害に及んだ職員の“洗い出し”が実現するわけです」(こども家庭庁の担当者)

 こども性暴力防止法が施行されれば、“前科”を持つ人間が再犯に及ぶことを防ぐ抑止力にはなるかもしれない。だが今、性加害に及び、なおかつ前科のない教員に対する抑止力にはなるのだろうか?

「こども性暴力防止法は“日本版DBS”という側面に強い関心が集まっていますが、実は子供に対する性犯罪の撲滅を目指した法律であることはご理解をお願いしたいです。相談体制の強化や被害の早期発見を実現することも法律には明記されており、特に各機関には職員に対する研修の実施を求めています。研修によって職員の性犯罪に対する意識が高まれば、相互監視の目が強化されます。性加害者を発見することが早くなり、被害の減少につながると考えています」(同・担当者)

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