金利を下げたい「トランプ氏」と下げない「FRB議長」の不協和音 早期退任まで迫り始めた政権側の“事情”は「米国経済に灯る黄信号」か

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GDPの6分の1を占める不動産市場が絶不調

 米国の主要株価指数は27日、4カ月ぶりに過去最高値を更新したが、トランプ氏の政策に対する警戒から予断を許さない状況が続く。

 実体経済には既に警戒信号が点滅している。

 コンファレンス・ボード(民間の非営利調査機関)が発表した5月の米景気先行指数は99.0と前月から0.1ポイント低下した。指数は6カ月連続で低下しており、市場では景気後退の兆候が表れているという観測が出ている。

 5月の小売売上高も前月比0.9%減少し、1月以来4カ月ぶりの大幅なマイナスとなった。関税政策と家計の財務状況を巡る懸念のせいで消費者が支出を抑えたため、2カ月連続の前月割れだ。

 雇用市場にも暗雲が漂い始めている。

 直近の失業保険継続受給者数は2021年11月以来の高水準となった。継続受給者数はここ1カ月半で大幅に増加しており、労働市場にも不調の兆しが出ている。

住宅ローン金利の高止まりと、関税の影響で上昇した資材コスト

 中でも心配なのは住宅用不動産市場の低調ぶりだ。

 5月の中古住宅販売戸数(年率換算)は前年比4%減の403万戸にとどまり、5月としては2009年以来で最も低い水準だった。住宅販売全体の約9割を占める中古住宅市場は当面、低迷が続くと見込まれている。

 5月の新築一戸建て住宅販売戸数(年率換算)も前月比13.7%減の62万3000戸に落ち込み、市場で売れ残った住宅在庫は50万7000戸と、2007年後半以来の高水準となった。地域別では南部での落ち込みが目立った。

 5月の住宅着工件数(年率換算)も125万6000戸と2020年5月以来5年ぶりの低さだった。

 全米住宅建設業協会は、現況について13年5カ月ぶりの悪さを嘆いている。その大本の原因は7%付近で高止まりしている住宅ローン金利だ。関税の影響で資材コストが上昇していることも足かせとなっている。

 同協会によれば、70%の家計が住宅費の捻出に四苦八苦しており、アメリカン・ドリームの象徴とも言えるマイホームは高嶺の花になってしまった感がある。

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