金利を下げたい「トランプ氏」と下げない「FRB議長」の不協和音 早期退任まで迫り始めた政権側の“事情”は「米国経済に灯る黄信号」か

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パウエル氏はなぜ利下げに慎重なのか

 トランプ米大統領は6月30日、自身のソーシャルメディアTruthへの投稿で、米国の金利は1%以下であるべきだと主張し、連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長らは職務を遂行できていないと改めて非難した。

 投稿では「もし彼らがきちんと仕事をしていれば、米国は何兆ドルもの金利コストを節約できるはずだ」と強い調子の非難が続く。

 フェデラルファンド(FF)金利の目標設定はFRBの最も重要な役割だ。金融機関間で貸し借りする際の金利であり、経済全体の貸し出しコストにも大きく影響する。

 インフレは収まったとして、利下げを求めるのはトランプ氏にとどまらない。ラトニック商務長官やホワイトハウスのハセット国家経済会議(NEC)委員長も「(7月末の)次回会合で利下げしろ」と露骨な圧力をかけている。

 これに対し、パウエル氏は利下げに慎重な姿勢を崩していない。トランプ関税の悪影響が出てくるのはこれからだとみているからだ。

FRBへの信認を犠牲にしてでも「早期退任」

 業を煮やしたトランプ氏はパウエル氏の早期退任を主張し始めている。パウエル氏の任期は来年5月までだが、トランプ氏は25日の記者会見で「(同氏の後任を)3~4人から選ぶ。幸いなことに彼はもうすぐ辞める」と述べた。

 自身も候補の一人と報じられたベッセント財務長官は27日、米テレビのインタビューで次期議長はおそらく10~11月に指名されるとの見通しを示した。

 パウエル氏の後任を早期に指名し、その人物が自らの金融政策に関するスタンスを公にすることで、現職議長の影響力を弱めようとする狙いがあるとの見方が浮上している。

 だが、パウエル氏が異例の早さでレームダック(死に体)化すれば、FRB自体の信認が毀損されるリスクが生じる。トランプ政権がそれを承知の上でFRB議長に異例の圧力をかけているのは、米国経済に異変が生まれているからだろう。

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