帝王「ジャック・ニクラス」85歳の“ホンネ発言”にゴルフ界「えっ?」 引き合いに出された29歳選手の“反論”もまた物議

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JJスポーンもおなじだった…「勝てば官軍」

 しかし、グリフィンは、最後に、こんなことも言った。

「なんだかんだ言っても、結局、人々はこれまでの結果でモノを言う。だから、勝てばいいってことだ」

 グリフィンのこの言葉は、まさに正論。エリートグループに数えられるか、数えられないかを議論するより、メジャー大会のようなビッグな大会で勝利を挙げさえすれば、「すごい選手」「強い選手」と見なされて、自ずとエリートグループに数えられることになる。

 今年の全米オープンを制したJJスポーンは、その最たる例だと言っていい。

 スポーンは今年3月のプレーヤーズ選手権でローリー・マキロイとのマンデー・プレーオフを戦って敗北したが、プレーオフを翌朝に控えた日曜日の夜には、「誰も僕が勝つことを望んでいない」と自ら言っていたほどで、当時のスポーンは自他ともに認める「ノン・エリート」だった。

 しかし、それから3か月後に全米オープンで見事な勝利を挙げると、メジャー覇者となったスポーンの名は世界中にとどろき、あっという間にエリートグループの1人に数えられるようになった。

 グリフィンも「勝てば官軍」であり、彼自身、それがわかっている様子ゆえ、ニクラスの言葉に真っ向から反論はしなかったが、ちょっぴり強がってみせたのだろう。

 それにしても、優勝争いに絡んだ選手たちのことを「エリートグループに属していない」と言い放ったニクラスや、何でもストレートに尋ねる米メディア、そして「容易に勝てる」と強がったグリフィンは、みな「どっちもどっち」のように感じられてならない。

 そして、アメリカはやっぱり自己主張の国であることを、あらためて痛感させられた。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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