「中国共産党」幹部の息子が、ロンドン留学中に「婦女暴行10名」で終身刑に 親のスネかじり月78万円のマンションで違法薬物も使用 「これまでの性犯罪者で最も凶悪な1人」

国際 中国

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セクシャルプレデター

 6月19日、インナーロンドンクラウン裁判所で行われた判決公判で、ロジーナ・コテージ判事(裁判官)は鄒に対して、「あなたは裕福で、野心的で、魅力的だと見られていたが、それはセクシャルプレデター(「性的捕食者」あるいは「性犯罪を犯す者」の意味)という本性を隠す仮面にすぎなかったのだ」と述べ、「あなたが一連のレイプ事件を計画・実行し、壊滅的かつ長期的な影響をもたらしたことは疑いようがない」と強調。「己の欲望を満たすために被害者を冷酷かつ性の玩具のように扱っており、権力欲と女性に対する支配欲が強く、生涯にわたって危険人物であり続けるだろう」と指摘した。

 眼鏡をかけ、黒いスーツ姿で出廷していた鄒は、終身刑との判決を聞いても、まったく表情を変えることはなかったという。イギリスの「終身刑」は、仮釈放については条件付きで、一定年数の禁錮刑を受けた段階で、仮釈放を適用するかしないかを決める。鄒の場合、「禁錮最低24年の終身刑」との判決が下っている。つまり、仮釈放になるにしても24年間、未決勾留期間を考慮しても少なくとも22年間は服役しなければならないことになる。

親のコネで

 中国の場合、大企業のトップや中国共産党の国家レベルの幹部ならば、子弟を海外留学に送り出せるほどの金銭的な余裕はある。ほとんどの留学生は真面目に勉学に励んでいるが、鄒の場合、国内でも女性関係が派手で、その性向が英国に出て、歯止めがかからなくなったといえる。加えて、父親が不動産を多数所有するなど非常に裕福で、また、博士号さえ取得すれば、帰国しても、親のコネで就職は心配ないという事情から、留学先の英国で、放蕩生活が可能になったと考えられる。

相馬勝(そうま・まさる)
1956年生まれ。東京外国語大学中国語科卒。産経新聞社に入社後は主に外信部で中国報道に携わり、香港支局長も務めた。2010年に退社し、フリーのジャーナリストに。著書に『習近平の「反日」作戦』『中国共産党に消された人々』(第8回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞)など。

デイリー新潮編集部

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