都議選で躍進、参院選でも“台風の目”…日本人ファーストを掲げる「参政党」を“トンデモ”“泡沫”と呼べなくなった「最大の理由」
Xに「参政党」と「外国人」という単語を入力して検索すると、興味深い結果が表示される。過激な投稿が多いので原文通りの引用は控えるが、「外国人の勝手にさせるわけにはいかない。参政党などの保守党野党で政権を取るべき」、「日本人ファースト! 外国人ばかりにいい顔をする政府はいらない。参政党応援しています」──という具合だ。
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【写真】2023年には参政党の演説会にNHK党の関係者が集まり、一触即発の大騒ぎになったことも
参院選は7月3日に公示され、7月20日に投開票が行われる。担当記者は「参政党は参院選の公約を公式サイトなどで発表しています」と言う。
「公式サイトは最初に『日本人ファースト』を大きく表示。公約として《3つの柱と9つの政策》を掲げ、その中の一つが《行き過ぎた外国人受け入れに反対》です。外国人政策の抜本的な見直しを主張し、外国人総合政策庁の新設、外国人による不動産購入の制限、外国人留学生の奨学制度の適正化などを訴えています。参政党は以前から《移民受け入れより、国民の就労と所得上昇を促進》を重点政策に掲げており、一貫して在日外国人に厳しい態度を取っていることが分かります」
6月22日に投開票された東京都議選で参政党は4人を擁立し、世田谷区、練馬区、大田区で3人が当選した。
そもそも参政党は3人の衆議院議員と1人の参議院議員を擁している。いわゆる“泡沫政党”とは全く異なるのだが、大手メディアは参政党が都議選で“躍進”したと驚きのトーンで報じた。
「都議選で躍進と報じられたのは、これまでの参政党には若干、“トンデモ政党”の印象があったからでしょう。今でも反ワクチンは重要公約ですし、党代表の神谷宗幣・参議院議員が『天皇陛下に側室を持っていただいて、たくさん子供を作っていただく』と発言し、批判されたこともあります」(同・記者)
「小政党は社会を煽動する」
ところが都議選で参政党の在日外国人に対する厳しい主張がネット上で拡散すると、関心を示す有権者が増えていった。
「都議選の結果を知り、在日中国人も参政党に注目しているようです。Xには『参政党は外国人敵視の政策で注目を集めている。非常に危険だ』、『自民党を応援したい』、『まず日本に帰化した中国人から団結して参政党に立ち向かうべきだ。しかし団結の苦手な中国人には無理かもしれない』など、中国語で書かれたポストも散見されます」(同・記者)
19世紀のフランスを代表する政治家、法曹家、歴史家であるアレクシ・ド・トクヴィルは「大政党は社会を覆すが、小政党は社会を扇動する」との言葉を残した──こう指摘するのは、政治アナリストの伊藤惇夫氏だ。
「参政党は国会に複数の議席を持っています。今回の都議選で突然、ブームを巻き起こした新党でないことには注意が必要でしょう。都議選で大手メディアが注目したのは、既存政党に不満や不信感を抱く有権者の受け皿として存在感を増しているからです。トクヴィルの言葉通り、在日外国人に対して厳しい姿勢を取ることで社会を煽動。その結果、将来に対する漠然とした不安を抱えている有権者の支持を集めていると言えます」
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