山尾騒動で支持率暴落の根源 「ネットの声ばかり気にしている」玉木代表に「SNSデトックス」のススメ

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ネットは諸刃の剣

「SNSによるネット戦略というのは諸刃の剣なのです。評判の良いポジティブなスパイラルの時は、好意的に見る人も、応援コメントも、支持者も増える。ところが、それが負のスパイラルに入ると、同じような速度感で逆方向に進む。おそらく国民民主の人たちには、昨日までみんなYESだったのに今日はみんなNOと言っているように映っていると思います。でも、それは国民民主に限った話ではなく、ネットはそういうものなのです。一度バズったからといって、それがずっと続くわけではないのです」(井上氏)

 一部のメディアは、玉木代表はSNSの批判を見続けている“ネット中毒”と報じた。

「薬物中毒の患者のように、見えない人が見えるとか、聞こえない声が聞こえるといった状態に近いかもしれません。ネットからやSNSから離れることをお勧めします。デトックスしたほうがいいと思いますよ、一日に2時間までとか制限して」(井上氏)

 それでも「たまきチャンネル」では57・5万人の登録者が新たな動画を待っている。

「登録者のうちメディアの人はどのくらいいるでしょう。ライバル政党の議員や事務方も登録しているでしょうし、国民民主の方もいるでしょう。複数アカウントを作って登録している人だっている。実態としては、本当の支持者は登録者の10分の1程度かもしれません。登録者6万人のYouTuberって普通にいますからね。そのくらいの感覚でいたほうがいいと思います」(井上氏)

「原点に立ち戻って」

 いまや国民民主は国会に36議席(衆院27,参院9)を抱える野党第三党である。

「数人しかいない政党ではないのですから、いつまでもネットが自分たちのベースだなんて思い込まないほうがいいと思います。SNSは広報ツール、情報を拡散させる装置と割り切ったほうがいい。特に動画やSNSは、シリアスなことをきちんと説明するのにはあまりに不向きです」(井上氏)

「手取りを増やす。」「103万円の壁」といったワンフレーズには向いている。

「それを実現させるにはまだ壁があり、その壁を自分たちは壊していきたいといった込み入った説明は、やはりリアルに演説などで話したほうが伝わります。リアルで100人に伝え、その話に共感してくれた人がネットで拡散していけば、10万人にも100万人にも届いていく。やはりリアルとネットを連携させることが重要です。実はネットは、無党派層や支持政党なしと言った人にはアピールできません。ネットでアピールできるのは支持者だけと考えたほうがいい。自分たちに興味がある人だから覗きに来てくれますが、その反応がいいと、広くあまねく自分たちの考えが浸透していると勘違いしがちになります。あらかじめ自分たちを選択してSNSや動画を見ている人なのですから、反応がいいのは当たり前なんです」(井上氏)

 ネットでの評価を鵜呑みにしてはいけないと?

「批判の書き込みが増えたところで気にする必要はありません。そもそも政治家なんて批判されてなんぼでしょう。その批判からどう巻き返すかが腕の見せ所ですからね。逆に賛成の声ばかり、YESマンの声ばかり聞いてしまうのは、政治家に限らず経営者でもダメと言われています。バランス良く賛否両論を聞いた上で結論を下すのが政治家に求められる仕事だと思います」(井上氏)

 玉木代表は6月17日の会見で、支持率の下落についてこう語った。

「我々が支持された原点に立ち戻って、手取りを増やす政策を訴えていく。仲間で力を合わせて一致団結していくことが、遠回りのように見えて一番の近道だ」

 国民民主支持層の原点が、ネットでないことを願う。

デイリー新潮編集部

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