トランプ政権から「共産主義者」と見切られた李在明、いつまで猫を被るのか――鈴置高史氏が読む

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従中国家には甘い顔をしない

――米国は今後、韓国に何を求めるのでしょうか。

鈴置:李在明当選に対するルビオ国務長官の声明にそれを示唆する部分がありました。

・We are also modernizing the Alliance to meet the demands of today’s strategic environment and address new economic challenges.(米韓両国は今日の戦略環境に合わせ、新たな経済的な挑戦に対処するために同盟を現実に見合ったものにしていく)。

 安保専門家は、在韓米陸軍の一部を台湾に近いグアムなどに移す一方、在韓米空軍を増強する計画と見ています。いずれも台湾有事に備えた対中圧迫の強化が狙いです。

 前者に関しては、台湾有事の際に米陸軍の「韓国からの出撃」がなくなるので韓国の左派は喜ぶでしょう。ただ、北朝鮮への牽制力は弱まるので、保守は嬉しくない。一方、北京への空爆態勢を強化する後者に対し、左派は中国から憎まれるとして反対するでしょう。

――米国は新たな兵力配置について韓国と交渉に入る?

鈴置:これまでだったら、韓国の国民感情と政権のメンツを考慮して米国はきちんと交渉したかもしれません。でも、トランプ第2期政権はそんな配慮はしない可能性が高い。どうせ相手は中国の顔色を見る政権と、それを選んだ国民なのですから。

 その時、李在明政権も猫を被るのをやめ、反米の本性をむき出しにするのかもしれません。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)
韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95~96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『韓国民主政治の自壊』『米韓同盟消滅』(ともに新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

デイリー新潮編集部

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