終活をしてはダメ、家族だけで過ごさない… 認知症にならない人の「九つの習慣」

ドクター新潮 ライフ

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歩行速度に大きな差

 ですから、できるだけ「自分でお金を管理する」(8)ように心がけてください。同様に、まだ自分で動けるのに家族に車で病院に送ってもらったり、料理や洗濯といった家事を家族に任せてしまうのも考えものです。

 最後に、私自身が実践している対策を紹介したいと思います。いまでも臨床の現場に立ち、働き続けていることがなによりの認知症対策ですが、それに加えて休みの日はできるだけ歩き、しかも「速足で歩く」(9)ことに努めています。3363人の高齢者(平均年齢72歳)を対象に6年間にわたって行われた観察研究によると、認知症を発症した人の歩行速度は毎秒0.8メートルだったのに対し、非発症者は毎秒1.2メートルと大きな差が出ています。スタスタと速く歩くことができれば、認知症も“置きざり”にできるわけです。

長田 乾(ながたけん)
横浜総合病院・横浜市認知症疾患医療センター長。1953年生まれ。弘前大学医学部卒業。脳血管研究所美原記念病院神経内科、コロラド大学神経内科、秋田県立脳血管研究センター神経内科学研究部などを経て現職に。専門分野は、認知症、脳卒中、神経心理学、画像診断。『認知症になりにくい人・なりやすい人の習慣』などの著書がある。

週刊新潮 2025年6月5日号掲載

特別読物「誰もが恐れる認知症を防ぐ『9つの習慣』」より

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