84歳“現役最高齢DJ”にして異例の9時間ハワイ生放送 「海外に行けない人」にも届けた小林克也のラジオ哲学

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 84歳の“現役最高齢ラジオDJ”として知られる小林克也が、32年間パーソナリティを務めてきたFM NACK5の「FUNKY FRIDAY」で、ハワイから9時間にわたる特別生放送を5月30日(現地時間29日)に行った。小林は、これまで自身のアルバムなどでハワイの魅力を伝えたり、82年に自ら結成したラップ・バンド「小林克也&ザ・ナンバーワン・バンド」でも「うわさのカム・トゥ・ハワイ」(86年)を作って歌うなど、現地の文化や音楽に深く関わってきた。そんな小林に、ハワイへの思いや番組へのこだわりについて聞いた。【渡邉裕二/芸能ジャーナリスト】

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「最初の頃はハワイに特別な関心があったわけじゃないけれど。ただ、熱帯植物が大好きでね。1970年ぐらいだったかな、10日ほどの休みがとれてロサンゼルスに行った時に、たまたまハワイにも立ち寄ったんですよ。すると海があって、しかも熱帯植物もたくさんあって……、“特別なところ”だと思うようになったんですね。それから20年ぐらい、それこそ毎年2、3回のペースで行くようになったんですよ」

 そうハワイとの縁を明かす小林。その後、関連する仕事も務めるようになったという。

「東京プリンスホテルで、ケン田島さん(イギリス生まれのディスクジョッキー)が司会でイベントをやっていた。当時のプリンス系のホテルって、夏になるとハワイアンやハワイの音楽イベントをたくさん開催していたんですよ。ところがケンさんが辞めることになって、その後任で僕に白羽の矢が立ったというか、抜擢されたんです。そのつながりで、ハワイの人たちと日本でも親しくなっていったんです」

 その後、結成したのが、ラップ・バンド「小林克也&ザ・ナンバーワン・バンド」で、86年には「うわさのカム・トゥ・ハワイ」を発表した。「日本のラップの原点」とも言われる曲で、サザンオールスターズの桑田佳祐もラップの起源と称し、「小林克也さんから聴かされてからラップのアルバムを聴いた」と述べている。現在でもバンドのテーマ曲として歌われている一曲だ。

ギネスブックに申請も考えたが…

 こうして小林とハワイの縁は深まっていったが、しかし1993年に「FUNKY FRIDAY」のパーソナリティに就任してからは、多忙ゆえ「ハワイに行く機会は減ってしまった」そう。それでも、2011年2月には70歳の誕生日を記念して番組をハワイから生放送したこともある。

「そういう意味では、14年ぶりの放送になるんです。ただ今回は、84歳というラジオDJとしては最高齢で、しかも9時間の生放送を32年間もやり続けてきたことへのお祝いの意味もあるんでしょうね。最初はギネスブックに申請しようという話もあったんです。だけど申請料には数百万円がかかると言われましてね。だったらハワイで盛り上がっちゃった方が、番組にとってもリスナーにとっても価値があるんじゃないか、って」。

 それだけに「ハワイの風を感じながら、音楽に浸かる贅沢な生放送にしたい」と意気込んで臨んだそうだ。

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