「私の男友だちと3人でどう?」自由すぎる年下妻についていけない… 通じない“常識”に悩む44歳夫の夫婦関係

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【前後編の前編/後編を読む】44歳夫の心がついに折れた…妻の「まさか」の実験提案 知り合って18年「ずっと振り回されてる」

「不倫」に対してどう感じるかは個人差が大きい。親戚が不倫をして大騒ぎになり、周りにどれだけ迷惑がかかるかを目の当たりにしたから潔癖になる人もいれば、親が不倫で離婚したがみんな明るく元気に生きてきたので、たいして悪いことだとは思っていないという人もいる。

 起こったことをどうとらえるか、どの程度自分に惹きつけて考えるか。その際、「善悪」の物差しがどのくらい基準になるのか。不倫に限ったことではないが、倫理的なスタンダードは人によって相当異なる。

「妻は、不倫に対する考え方が人と違う。知り合って18年、結婚して8年たって、ようやくわかってきたところです。どうしてあんなふうになったのかはわからないけど……」

 妻との間で起こったこの長い時間のあれやこれやに困惑し、悩み、苦しんできたと語るのは今村晴也さん(44歳・仮名=以下同)だ。別れてしまえばいいと友人に言われたこともあるが、1度できた縁だからそう簡単に別れるわけにはいかないと思ってきたという。

「私もlikeです。でも…」

「妻の絵梨と出会ったのは僕が26歳のときです。彼女はまだ現役大学生だった。同期の友人がサークルの相談役みたいなことをしていたんです。彼にイベントがあるからと誘われて、久しぶりに遊びに行って絵梨と出会った。そのときはイベント後、みんなで打ち上げをして。絵梨はひときわかわいくて、話してみたら楽しい子だったので連絡先を交換してもらったんです」

 当時、彼女は卒業間近で、すでに就職先も決まっていた。しっかりしていて、晴也さんにもきちんと自分の言いたいことを言うタイプだった。晴也さんはときどき、彼女を食事に誘ったが、なかなかつきあおうとは言えなかった。

「食事に誘うとうれしいと言って来るんだけど、僕を好きなわけではないんだろうとは思っていました。雰囲気でわかるじゃないですか。だけど会うたびに僕は好きになっていく。だからあるとき『あなたのことが好きなんだ』と言ったんです。『私もlikeです。でもつきあっている人がいるんですよ』と言われてしまった。軽い友だちみたいに思っていたようです」

セクハラ事件

 そう言われたらもう誘えなくなった。彼女が就職してからは、ほとんど連絡を取り合うこともなかった。だが1年後、突然、彼女から連絡があった。

「会社で上司からセクハラにあって困っているというんです。社内の窓口に相談したけど埒があかない。それでとうとう、上司をぶん殴ってしまったと。すぐに電話をしてその日のうちに会いました。めげているかと思ったら、待ち合わせたカフェでニコニコしながら手を振ってる。大丈夫かと聞いたら『すっきりした』と。上司にビンタしたあと、すべてみんなの前でぶちまけて、やめてやらあと啖呵を切ってしまったそうです。そんなに鉄火な女性だと思ってなかったので、びっくりするやらおかしいやらで、僕も笑ってしまいました」

 それまでもその上司に嫌な思いをさせられた女性たちはたくさんいたらしい。絵梨さんの爆発がきっかけで女性社員たちが声を上げ、その上司は地方に異動となった。絵梨さんの地位回復はできたのだが、彼女は退職した。

「企業の体質が嫌になったと言っていましたね。もともと組織には向かないのかも、自分に合うところを見つけるしかないわって」

 そしてそのまま彼女は「海外を放浪してくる」と言っていなくなった。連絡もとれたりとれなかったりで、いつ帰ってくるのかもわからない。心配になり、共通の知人に連絡をとってみると、絵梨さんは学生時代にも海外をぶらぶらしていた時期があったようだ。慣れているから大丈夫と知人は言った。

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