「生野菜には落とし穴も」「ゆでるよりもレンチンの方が…」 減少し続ける日本人の野菜摂取 認知症対策にもなる取り方とは
野菜不足以上に深刻な果物不足
埼玉県の30~65歳の男女548人を対象にした調査の結果、1日350グラムの野菜摂取をクリアしている人に比べると、クリアできていない人は朝食、昼食、夕食の3食のうち、朝食での野菜摂取量が特に低いことが分かりました。また、東京大学の研究チームが20~81歳の639人を対象に行った研究でも、3食のうち朝食での野菜摂取量が最も低いという結果が出ています。このことから、朝食から野菜を食べることが350グラムをクリアする第一歩であるといえるのです。
とはいえ、朝はバタバタしていて誰にとっても忙しい時間帯です。そこで、「とにかく朝に野菜」を習慣付けることがまずはお勧めです。ミニトマトを2~3個食べる、あるいはリンゴを丸かじりする。ちなみに、英語では野菜と果物をまとめて呼ぶとき「フルーツ&ベジタブル」と、先に果物を持ってくるように、欧米では果物は野菜と同等の扱いをされています。いずれにしても、どんな形であれ朝食に野菜を食べる習慣をつくることができれば、次第に食べないことのほうが気持ち悪いというふうになっていくはずです。
なお、日本人にとって果物不足も、野菜不足と同等か、あるいはそれ以上に深刻な問題です。近年注目されている指標に「DALYs(障害調整生存年)」というものがあります。疾病や運動不足などの要素が、個々にどれだけ健康寿命を損なっているかを示す指標なのですが、日本人のDALYsに悪影響を与えている第1位の要因は喫煙で、2位は高血圧。そして果物不足は11位で、29位の野菜不足より上位に入っています。
レンチンのビタミンC残存率は93%
さて、朝食からの野菜摂取に向けては、「仕切り皿」を使ってみるのもいいと思います。仮に一つのお皿が三つに仕切られているものを使うとすれば、仕切られた三つのスペースの1カ所だけに何ものっていないと気になりますよね? この心理を利用すると、一つ目のスペースに主食、二つ目のスペースに主菜、そして三つ目のスペースに副菜(野菜料理)を置くというメニューにしやすくなるでしょう。
その三つ目のスペースに、先ほど挙げたミニトマトを置いてもいいわけですが、そのまま手軽に食べられる野菜はそう多くありません。朝食に限らず、どうしても野菜を調理する手間をゼロにするのは難しいでしょう。その手間を省くには、電子レンジで加熱する「レンチン」が有効で、私も活用しています。
料理の専門家からは、レンチンなどは調理の“邪道”だと怒られてしまうかもしれませんが、レンチンはガスコンロやIHヒーターよりも加熱時間が短くて済み、ビタミンCのような加熱に弱い栄養素の損失を抑えられるというメリットがあるのです。ある研究によれば、電子レンジで1分30秒加熱したほうれん草のビタミンC残存率は93%であったのに対し、2分ゆでた場合の残存率は42%でした。栄養価から考えれば、レンチンは立派な「調理法」の一つと考えていいのではないでしょうか。
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