「生野菜には落とし穴も」「ゆでるよりもレンチンの方が…」 減少し続ける日本人の野菜摂取 認知症対策にもなる取り方とは

ドクター新潮 ライフ

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生野菜摂取の「落とし穴」

 生活習慣病やがんの予防、また老化を遅らせる働きが期待されるβカロテン、ビタミンE、ビタミンCといった抗酸化物質に、「第6の栄養素」として注目される食物繊維、代謝機能を維持して体調を整えるのに役立つミネラル……。さまざまな栄養素が野菜には豊富に含まれていて、食材をそのまま食べれば、これらの栄養素を無駄にすることなく摂取できるのは言わずもがなです。とはいえ、生野菜の摂取には「落とし穴」も存在します。

 肉や魚の細胞は細胞膜に包まれていますが、野菜の細胞に関しては細胞膜の外側にさらに細胞壁があります。この細胞壁はとても強固なため、加熱して細胞壁を柔らかくし壊れやすくするか、とにかくよくかんで食べるかしないと十分に栄養素を摂取できない可能性があるのです。そして、それ以上の落とし穴が「かさ」です。

カップサラダを1日3回食べても……

 コンビニやスーパーで売っているカップサラダは、葉物を中心にいろいろな野菜が入っていて、一見、量も多いように映ります。しかし、カップサラダ一つで取れる野菜の量は約100グラムに過ぎません。「見た目」と「実際の重量」にかなり差があると感じた人が少なくないのではないでしょうか。水分を多く含んでいる野菜は、ゆでたりすると水分が抜け、かなり小さくなります。この水分が見た目を大きくしているのです。

 従って、もちろん生野菜を食べること自体には問題はありませんが、かさの割に重量はそれほど稼げないという事態が起こり得ます。カップサラダを1日3食、毎日食べるという人はそういないと思いますが、仮に毎食カップサラダを食べても野菜の摂取量は300グラムで、目標摂取量の350グラムには達しません。また、とりわけ食が細った高齢者には、かさのある生野菜をたくさん食べ、それだけでお腹が膨れてしまうと、他の食材が食べられなくなって食事のバランスが崩れ、栄養不足に陥ってしまうリスクもあります。

「体に良いから野菜をたくさん食べよう」。多くの人が分かっていることでありながら、やはり摂取量を増やすのはそう簡単ではありません。果たして、目標摂取量と現実の摂取量の「100グラムの差」はどうすれば埋めることができるのでしょうか。冒頭で触れたように、平均摂取量の減少傾向に歯止めがかからない中、簡単にクリアできる課題ではありませんが、ヒントの一つは「朝」にあります。

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