新京成→京成、泉北→南海 政治に翻弄された東西の私鉄

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民営化と統合、その光と影

 泉北高速が南海に統合されることにより、運賃が値下げされるという利用者にわかりやすいメリットが生まれたが、京成に統合された松戸線は運賃体系が変化していない。そのため、利用者が統合で生じるメリットはないように感じるだろう。

 だが、目に見えない統合がある。それが運転士の確保による安定的な運行だ。昨今、鉄道会社は運転士不足が深刻な問題となり、その影響で昼や土休日を中心に運転本数を減少させている。その影響で、鉄道は以前よりも利用しづらくなっている。そうした減便という社会現象は東京・大阪といった大都市圏でも顕在化しつつある。新京成が京成に統合されたことで、今後は運転士の確保などが容易になるだろう。それが運転本数の維持につながり、利用者にとっても大きなメリットになるといえる。

 新京成も泉北高速も、その誕生から統合に至るまで政治には翻弄され続けてきた。そうした激動の時代を生き抜き、ようやく2路線は安住の地を見つけることになった。

 とはいえ、統合の祝賀ムードに浸ってばかりはいられない。今後は沿線人口の減少という先の見えない問題が待ち受けている。2社はどんな明るい未来を描こうとしているのか?

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