中学受験のプロが明かす“後悔しない”志望校選び 「新設校の特進コース」と「硬派な校風の伝統校」はどちらがおススメか
緻密な分析が大切
「千葉県の難関校に合格した生徒が同程度の都内中学に挑んでも、残念ながら全員が受かるわけではありません。個人の状況や問題の相性もさることながら、最も大きな理由は、合格者の最上位層の動向にあります」
安本氏はこう続けた。
「千葉県内の難関校に合格した生徒の一部は、都内の上位難関校に進学するので、千葉県内の学校は、やや多めに合格者を出す傾向にあります。そのため、中位以下の位置で合格した子が、合格者が抜ける可能性が少ない2月1日の上位校を受験しても、偏差値では合格圏にいるはずなのに、歯が立たずに落ちてしまうことがあるんです。つまり同偏差値の学校の合否が、必ずしも近しい結果になるわけではないと言うことです」
満足できる結果を手繰り寄せるためには、「それを踏まえた緻密な分析や受験戦略が求められることになるでしょう」と安本氏は言及した。
後悔しない受験校選び
近年の中学受験では、長引く日本経済の低迷の影響もあって、学費を抑えられる国立中学や、将来の見通しが立てやすい大学付属校、そして英語や国際色豊かな教育に力を入れる共学校などが人気を博しているという。来年冬に中学受験に臨む小学6年生は、ゴールデンウイークを終えると、学校説明会や行事に出向きながら、本格的な受験校の選定を進めることになるが……。
安本氏は、ある教え子の母親のエピソードを交えながら、安易な受験校選びに警鐘を鳴らす。
その母親は英語教育を特徴とする新設校の説明会に出向き、素晴らしい教育理念や、華やかに演出されたプレゼンテーション、そして「6年後に東大に何名合格させます」といった目標を熱弁する先生方の姿に感銘を受け、浮き足出しだった様子で、安本氏の元を訪れたという。
「6年後に東大に合格させるんですって!」
あたかも自分の子が東大に合格したかのように昂る彼女に、安本氏は「まだ一人も生徒が入学していない学校です」とCMに惹かれて通販に飛びつくような母親に冷静さを促したという。
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