中学受験のプロが明かす“後悔しない”志望校選び 「新設校の特進コース」と「硬派な校風の伝統校」はどちらがおススメか

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 出生数が70万人を下回る急速な少子化が進む日本。その一方で、首都圏エリアの私立・国公立中学を目指す受験生の数は、増加の一途を辿っている。

 2025年の首都圏中学入試における受験者の総数は5万2300人で、前年より100名ほど減ったものの、受験率は18.1%を記録。親世代が受験生だった1998年の12.6%と比較すると、その数字を大きく伸ばしている。40年近くにわたって、国語の講師として中学受験生の指導にあたってきた龍馬進学研究会(千葉県船橋市)の安本満氏に、熾烈な競争が続く中学受験の現状や、親世代が受験生だった頃との違いについて語ってもらった。(3本中1本目)

試し受験から、選ばれる学校に変わった

 龍馬進学研究会の取締役会長を務める安本氏は、大手予備校国語科のトップ講師として活躍した後に、龍馬進学研究会(千葉県船橋市 以下、龍馬)を1999年に設立。少数精鋭で、生徒に寄り添ったきめ細かな指導に定評があり、多くの中学受験生を志望校合格に導いてきた。今年2月には、難関校が揃う海浜幕張に新校舎を開業している。

 実は、龍馬が拠点を置く千葉県は、中学受験が本格化した約40年の間に、さまざまな変化が見られたエリアだ。同県の中学入試は、東京よりも早い1月中に本番を迎えることから、長らく都内の学校を志望する小学生の本番を見据えた“実力試し”の役割を果たしてきた。
 一足早く合格を手にすべく、遠方から訪れる受験生の姿は今も健在だが、近年では、堅調な進学実績を残している千葉県の私立中学に進学を希望する受験生も増加しており、難化に拍車がかかっている。 

「千葉県内の学校は、これまで『都内の有力校に追いつけ追い越せ』を目標に掲げてきました。近年は都内の難関校と比べても遜色がないほどの進学実績を残すようになり、今もなおレベルアップを続けています。最近では、男女の御三家中学に合格した受験生が、『近所の共学校が良い』といった理由で渋谷幕張中学に進学するケースも多く見られ、優秀な受験生に“選んでもらえる学校”になったと言えます」

合格を掴むために

 2025年の偏差値表(参考:首都圏模試センター)を見ると、千葉県内で偏差値70を超える学校は、市川中学、渋谷幕張中学、東邦大東邦中学、昭和秀英中学の4校ある。いずれも都内の難関校に引けを取らない高いレベルの競争が繰り広げられ、2月に入試が行われる都内や神奈川県の学校とは、その性質に違いも見られるという。

 そもそも多くの予備校が発表している偏差値(80%合格偏差値)は「10人試験を受けたら8人が合格する」ことを指す基準だ。実際の試験では、偏差値に到達している受験生はもちろん、それに成績が及ばない受験生も、合格の可能性を信じて本番に臨むこととなる。

 1月の入試で合格を手にした受験生は、勢いに乗って2月に行われる都内の中学入試に挑むこととなるが……。偏差値は同じだったとしても、実際の合格難度には大きな違いがあるという。 

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