人気ガタ落ち「トランプ大統領とマスク氏」 火消し役の「ベッセント財務長官」が直面する“最大の難関”とは
米国の治安に悪化懸念も
ドナルド・トランプ米大統領の人気は相変わらず芳しくない。全米各地ではトランプ氏の政策に抗議するデモが毎日のように行われている。
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中でも悪評なのは、米国でインフレを再燃させる可能性が高い関税の引き上げだ。トランプ氏が大統領選に勝利できたのは「消費者物価の引き下げ」という期待ゆえだったが、就任直後にこの公約と真逆の政策を実施した。
関税引き上げが消費者信頼感を悪化させ、米国経済が急減速する兆しが生じているにもかかわらず、トランプ氏は「短期的に景気後退(リセッション)に陥ったとしても、米国経済は長期的に繁栄する」と自説を曲げようとしない。
トランプ関税はインフレ以外にも深刻な悪影響をもたらす危険性があるようだ。
フィナンシャルタイムズは2日、トランプ関税により、禁酒法時代の密造・密輸酒に匹敵するほどの巨大な新市場が出現する可能性があり、組織犯罪者はそのチャンスを虎視眈々と狙っていると報じた。1930年にスムート・ホーリー法(2万点以上の輸入品に大幅な関税を課した)が施行された際、イタリア系マフィアが密輸の仲介業者として組織を拡大させたという。
これが正しいとすれば、米国の治安は今後、著しく悪化してしまうのかもしれない。
トランプ氏は「最高破壊責任者」
トランプ氏の政治的な資質にも疑問が投げかけられるようになった。
政治的な立場を問わず、多くの専門家が認めていたことは、トランプ氏が極めて優れた政治的洞察力を持つ点だった。だが、トランプ氏は就任直後から、選挙戦で掲げた物議を醸す公約の多くを実行に移し、米国社会に大混乱を巻き起こしている。
トランプ氏は4日、NBCのインタビューで「合衆国憲法を遵守しなければならないかどうかわからない」と発言した。周りをイエスマンで固めたトランプ氏は「自分は皇帝であり、間違いを犯すことなどない」と考えているのだろうか。
米国ばかりか、国際社会の秩序も翻弄しているトランプ氏を「最高破壊責任者」と揶揄する声まで出ているほどだ(5月2日付ニューズウィーク日本版)。
トランプ氏に投票した多くの人々が自らの選択に後悔していたとしても、なんら不思議ではないだろう。
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