人気ガタ落ち「トランプ大統領とマスク氏」 火消し役の「ベッセント財務長官」が直面する“最大の難関”とは
マスク氏には「収監されるべき」の声
トランプ氏以上に嫌われ者となっているのはイーロン・マスク氏だ。
マスク氏は政府効率化省(DOGE)を率いて連邦債務の大幅削減に取り組んできたが、自身がCEOを務める電気自動車(EV)大手テスラの業績が悪化したため、4月末に開かれた閣議で政権から身を引くことを示唆した。
マスク氏による政権の私物化も火に油を注いでいる。ワシントンポストは7日、トランプ政権は貿易交渉を進める中、マスク氏の衛星インターネット事業「スターリンク」に便宜を図るよう相手国に求めていると報じた。
このため、マスク氏に対する憎悪は高まるばかりだ。米世論調査企業「ラスムセン」が11日に発表した調査結果によれば、民主党支持者の71%が「DOGEを主導したマスク氏は収監されるべき」と回答した。
存在感を一気に高めた財務長官
国民の怒りに直面しているトランプ政権で、火消しの役目を担い始めているのはスコット・ベッセント財務長官だ。
ベッセント氏は著名な投資家ジョージ・ソロス氏の下で働いた経験を持つヘッジファンド経営者であり、債券と為替に精通する専門家だ。関税引き上げで金融市場が動揺した際、沈静化に寄与する助言をトランプ氏に行ったことから存在感を一気に高めた感がある。
ベッセント氏は5月に入り、メデイアへの露出も顕著となっている。5日に「関税、減税、規制緩和が相互に連携し、米国への長期投資を促す」と経済政策を擁護し、6日には「3年ぶりにマイナス成長となった第1四半期の国内総生産(GDP)は上方修正されると予想している」と述べ、リセッション入りの懸念を払拭した。
ベッセント氏は、トランプ氏に忠誠を誓うピーター・ナバロ大統領上級顧問を押しのけて各国との関税交渉も主導し、貿易戦争の早期終結に尽力している。
獅子奮迅の活躍を見せるベッセント氏だが、彼の前には難問が立ちはだかっている。
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