「自決を暗に予告して大笑い」「豚骨ラーメンのように濃厚な作品」 三島由紀夫生誕100年 著名人たちが語り尽くした「スター性」とオススメ作品
大スターでもあった三島
――次に、作家であると同時に有名人でもあった三島の「スター」としての側面について語るのは、作家でアイドル評論家の中森明夫氏だ。
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三島由紀夫は大作家であると同時に超有名人で大スターだった。映画「三島由紀夫vs東大全共闘」(2020年公開)が話題になったが、俳優として映画「からっ風野郎」「人斬り」にも出ている。が、何といっても、原作・製作・脚色・監督・主演を務めた『憂国』だろう。これがDVDとして、なんと『決定版 三島由紀夫全集』(新潮社)の別巻に収められているのだ(主演映画の映像が全集に入っている作家なんて三島だけだろう!)。
二・二六事件に参加できず妻と心中する陸軍中尉を熱演、エイヤッと血まみれで切腹する。このハラキリシーンのエグさに観客の失神騒ぎが相次いだという。1965年製作。40歳の三島は、5年後の切腹事件の予行演習をスクリーンで公開してやってのけたのだ。エモい!
自決を暗に予告して大笑い
自決の1週間前の対談音声がCD化されていて、こちらもスゴい! こんな声をしていたのか(ちょっと板東英二に似ている)。これは作家ミシマの肉声による「遺言」だ。お相手の思想的に対立する批評家・古林尚に「楯の会が体制権力に利用されるんじゃないか?」とツッコまれ、血相を変えて「今に分かります。僕は絶対に利用されません。敵の手には乗りません。今に見ていてください。僕がどういうことをやるか(大笑)」と。1週間後にハラキリ自決をやるのを暗に予告してワッハッハッハッと大笑いしているのだ。
ここだけでも聞く価値がある。現在、私は三島由紀夫をテーマにした小説を執筆中、ミシマ先生にあやかって世界を驚かせたい所存です!
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