「40歳以上の5%が緑内障で、9割は無自覚」 リスクが高い人の五つの特徴とは

ドクター新潮 ライフ

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 近視の増加は、パソコンやスマートフォンの普及により、世界的に深刻な問題となっています。近視による眼内の構造レベルの変化は、コンタクトレンズや眼鏡、レーシック手術によっても、変えられません。近視者の増加に伴い、今後、緑内障も増加することが懸念されています。もしお孫さんやお子さんがいるようなら、近視になりにくい生活を意識させることが、将来の緑内障予防につながると考えられます。

眼圧を下げるには

 最後に、患者さんから頻繁に聞かれる「緑内障対策にいい生活習慣は?」の質問に答えたいと思います。残念ながら、緑内障は発症してしまうと「これをしたら治る」といった日常的な対策はありません。緑内障の進行予防に有効とエビデンスに基づいて証明されているのは、眼圧を下げることのみ。つまり、点眼薬治療、レーザー治療、手術しかありません。

 ただ、どういったことが眼圧に影響するかはさまざまな研究が行われています。眼圧上昇と生活習慣病は関係がありますので注意した方がよいといえます。たばこが緑内障に与える影響は不明ではあるものの、喫煙の有害作用は多く、ぜひ禁煙に取り組んでください。トランペット、オーボエなどの吹奏楽器の演奏は、一時的に眼圧を上昇させ、ジョギングやエアロビクスは眼圧を一時的に下げるという報告があります。

 緑内障を早く発見し、治療を継続すれば、一生、視機能を維持できます。一人でも多くの方に正しい知識を持っていただきたいと考えています。

岩瀬愛子(いわせあいこ)
眼科専門医。岐阜大学医学部医学科卒業。医学博士。日本緑内障学会名誉会員。多治見市民病院副院長などを経て、2009年にたじみ岩瀬眼科を開院。緑内障の実態を明らかにした「多治見スタディ」に大きく貢献。現在、大阪大学大学院医学系研究科招聘教授、東京慈恵会医科大学、名古屋大学未来社会創造機構客員教授。

週刊新潮 2025年5月1・8日号掲載

特別読物「白内障とはココが違う…症状・治療から対策まで知る『緑内障』全ガイド」より

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