「40歳以上の5%が緑内障で、9割は無自覚」 リスクが高い人の五つの特徴とは

ドクター新潮 ライフ

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手術についての注意点

 緑内障と白内障の手術について、さらに注意喚起したい件があります。少し専門的になりますが、どうぞお付き合いください。

 眼圧上昇の原因が不明の原発緑内障には、開放隅角(ぐうかく)緑内障と閉塞隅角緑内障の二つの型があります。分かりやすいように「開放」と「閉塞」と表記します。 

「開放」は男女問わず40歳以上に多く、進行が遅い、みなさんがイメージしている緑内障。正常眼圧緑内障も「開放」に含まれます。

「開放」では、白内障手術の際、同時に眼圧を下げる緑内障手術をすることもあります。点眼薬だけで十分に眼圧を下げられない場合に選択され、白内障手術の「ついでに」や「緑内障の予防で」と安易な理由で行うものではありません。

 一方、「閉塞」は高齢女性や遠視の方に多く、急性の発作を起こす危険性があります。水晶体が眼圧上昇に関与しているため、眼圧を下げ緑内障の進行を止めるために、白内障と同じく水晶体を眼内レンズにかえる手術が適応となります。

「開放」「閉塞」いずれの場合も、手術適応は専門医による十分な検討を経て決められるべきです。手術を勧められた場合は、その根拠を納得いくまで確認してください。自分の状況をしっかり知った上で治療を受けるべきだと思います。

対策として必ずやっていただきたいのは……

 ところで自覚症状に乏しい緑内障は、対策として何を知っておくべきでしょうか?

 必ずやっていただきたいのは眼科検診(眼底検査・眼圧検査)です。視力検査では、緑内障は分かりません。

 先述の通り、日本人では、正常眼圧緑内障が大多数を占めるといわれています。そういう意味では眼圧検査は不要なように思うかもしれませんが、治療方針を立てる上で、眼圧検査は外せません。

 40歳を超えたら眼科検診は「一度」ではなく、「定期的に」受けてください。一度緑内障を疑われて精密検査に行き「異常なし」となると、安心してその後検診に行かなくなる方が結構います。必ず継続して定期検診を受けるべきです。

 特に、次の項目に該当する方は緑内障のリスクが高いため、眼科医の指示に従い検査を受けてください。

・眼圧が高いといわれたことがある

・強度近視(近視の中でも特に度数が強い)である

・遠視である(とりわけ70歳以上の女性の場合)

・家族に緑内障の人がいる

・検診で「視神経乳頭陥凹拡大(ししんけいにゅうとうかんおうかくだい)」の指摘を受けたことがある。

「強度近視や遠視も?」と疑問に思った方もいるかもしれません。強度近視では眼球の奥行き(眼軸)が過度に引き伸ばされ、視神経がダメージを受けやすくなるため、開放隅角緑内障のリスクが上がります。遠視は眼軸が短くなって房水の通り道である隅角が狭くなり、閉塞隅角緑内障のリスクが上がります。

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