「40歳以上の5%が緑内障で、9割は無自覚」 リスクが高い人の五つの特徴とは
「眼鏡が合わないからと思っていた」
「緑内障です」「えっ! 私が!?」――。診察の現場では、こんな光景が珍しくありません。強度近視、親が緑内障というある女性は「そそっかしくて、階段を踏み外してけがをしたことが何度もあります」と言い、その方に緑内障検査を行うと、中期以上の緑内障であることが判明しました。「階段を踏み外す」というのは恐らく緑内障による見えづらさが原因ですが、ご本人は性格のためだと思っていたのです。
また、日常的に運転をするさる男性は、交通事故を起こしそうになったことから視力検査と眼鏡合わせ希望で受診。視力は良かったものの、緑内障で視野が極端に狭くなっており、身体障害者手帳2級取得となりました。本人は「見えづらいのは、眼鏡が合わないからと思っていた」とおっしゃっていました。
「自分が発症していてもおかしくない」という事実をしっかり受け入れてほしいと思います。症状がなくても自分が緑内障かもしれないと疑うことが、緑内障対策の第一歩となります。
異常を認識しづらい二つの理由
緑内障が厄介なのは、見え方の異常を認識しづらいところです。理由は主に二つあります。一つは、私たちは両方の目でものを見ていること。緑内障はほとんどの場合、両目に起こりますが、進行スピードが異なるため、一方の目で、もう一方の目の見えにくさをカバーしてしまい、見え方の変化を自覚しづらい。しかも、一般的に症状は徐々に進行するため、見えにくくなっていることが分かりづらいのです。
もう一つは、緑内障の症状が「視野が欠ける・狭くなる=視野欠損・狭窄」であって、「視力低下」ではないこと。視力とは、見ようとしたところを見る力。これは緑内障であっても保たれています。従って、「本当は緑内障だが、運転免許更新時の視力検査では問題なし」という方はザラにいるのです。
ちなみに「視野欠損」というと視野の一部が黒く、または白く抜け落ちるようなイメージを抱くかもしれませんが、そこまでのくっきりした変化はありません。一部がぼやけ、かすんだ見え方になります。
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