【川崎ストーカー殺人】警察キャリアが明かす「警察の対応に不満な時にすべきこと」

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ドリル優子

 地検特捜部が担うような汚職事件も含め、証拠に類するものを消去した時点で当事者にとって後ろめたい行為とみなされ、徹底的に追及されることが常だ。任意の事情聴取でスマホを調べるのは難しいだろうが、1月の時点で調べてデータが消去されているのがわかったならば、より疑いを強めても良さそうなものだが警察の動きは鈍かった。

「自民党の小渕優子議員が東京地検特捜部から政治資金規正法違反の疑いで捜査を受けている中で事務所のパソコンのハードディスクがドリルで破壊されていたことがありました。今もなお小渕議員が“ドリル優子”と言われる原因となった一件ですが、捜査当局としては小渕議員側に捜査妨害をされたとの認識を持っており、メディア側に“怒りのリーク”を行った結果、この件が広まったわけです。普通に考えて、未練のある相手のデータを消去するのは怪しいと考えるべきですが、どこまでそういう認識があったのか」(同)

 遺族の訴えや世論の批判を受け、県警本部は一連の対応について問題がなかったか否か検証するチームを設置した。

警察キャリアOBの見方

「警察庁の楠芳伸長官は定例会見で、“人身安全関連事案は事態が急展開して重大事件に発展する恐れが極めて高いことから、相談者やその関係者の心情に寄り添いつつ対応を行い被害者の安全確保を最優先に対処することが肝要と認識しており、都道府県警察にも通達を出している”旨を述べました。そのことと今回の県警内の検証チーム立ち上げはリンクしているものです」(同)

「岡崎さんが身を寄せていた祖母宅の窓ガラスが割られていたのに臨港署は指紋採取などを行っておらず、事件捜査に十分な対応を取っていたか否か厳しい目で見られることになるでしょう。警視庁なら“この事案はややこしそうだな”という際には比較的早い段階で頼りになる捜査1課を投入する判断をするわけですが」(同)

 一連の推移について、警察庁キャリアはどう見ているのか。ある道府県警本部長経験者のOBはこう語る。

「県警本部長は針のむしろでしょうね。当初は具体的に報告を受けていなかったでしょう。しかし、結果的には最悪の事態を招いてしまった」

 一方でこのOBは、警察の窓口でこういった事案に対処することの難しさを吐露する。

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