西郷真央が制した米女子ゴルフ「シェブロン選手権」 なぜ「ギャラリースタンドはガラ空き」だったのか

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大会関係者たちの知られざる努力

 なるほど。ここ数年だけを見ても、他のメジャー大会はペブルビーチやバルタスロール、オリンピッククラブ、英国ならセント・アンドリュースという具合に、長い歴史を誇る名門コースで開催され、視聴者はそのコース見たさも手伝ってテレビ中継にチャンネルを合わせる傾向が見られた。

 一方、カールトンウッズはシェブロン選手権の舞台となって今年でようやく3年目にすぎず、歴史の重みが感じられなかったことは確かだった。

 しかし、歴史や伝統を築くには1つ1つ積み重ねていく以外に方法がない。「ローマは一日にして成らず」である。大事なのは、大会を維持継続させ、生き残らせていくことだ。

 西郷の見事な勝利で日本のファンを沸かせたシェブロン選手権だが、大会の背後には、さまざまな不安や懸念、課題があり、大会関係者は知られざる努力を続けている。

 今季、米LPGAに参戦している13名の日本人選手は、そうした人々の努力によって用意していただいた戦いの場を「お借りしている」という謙虚な気持ちを、どんなときも忘れないでほしいと願っている。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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