北京五輪“痛恨の落球”を悔やむ「GG佐藤」に「お前は勝利者だ」…恩師「ノムさん」の深すぎる言葉で「エラーがあってよかったな」と思えるようになるまで
西武、ロッテで活躍し、北京五輪代表にも選出された元プロ野球選手のGG佐藤氏(旧称G.G.佐藤。以下、佐藤氏)は、2014年の現役引退以降、数々の難関資格に挑戦し、見事に合格を手にしてきた。父が経営している会社に勤務し、野球解説者としても多忙なスケジュールをこなす中で、どのように勉強に向き合い、難関を突破してきたのか。佐藤氏の目標に向かうモチベーションや、栄冠を手繰り寄せる原動力となったポジティブな考え方に迫った。(全3回のうち第2回)
【写真】“イタリアでのプレーが考え方を変えてくれた”と話すGG佐藤氏
「できる」、「やれる」、「きっと良くなる」 成功を手繰り寄せたプラス思考
佐藤氏のプロ野球やセカンドキャリアにおける成果は、その常に前向きな思考が手繰り寄せたといっても過言ではないだろう。
「長い間野球を続けられたという成功体験や、その積み重ねで生まれた多少の自信。そして、子供の頃に両親にかけられた前向きな言葉の数々が、僕のポジティブな考え方を引き出す一因になっているのでははないかと思います」
そのように話す佐藤氏は、両親にとにかく褒められ続けた幼少期のエピソードを明かす。
「僕は幼い頃から、両親に『お前は天才だから、必ずプロ野球選手になれる』とか、『この世の最高傑作だ』といった前向きな言葉をかけられて育ちました。対する僕も、その声がけを素直に受け止めながら、『いつか自分の夢を叶えられるんだろうな』と思って過ごしていたので、自分の夢が破れたり、失敗して終わったりするイメージが正直あまり思い浮かばないんですよ」
だが、大人になるにつれて徐々に褒められる機会は減り、ネガティブな言葉と対峙する場面も増えてくるように思われるが……。佐藤氏もそのような状況と無縁ではなかったそうだが、そんな時には自分自身に「できる、やれる、きっとよくなる」と何度も言い聞かせて、ポジティブなイメージを徹底的に叩きこむように習慣付けていたという。
とにかく長所を伸ばす
そして、子供と前向きに向き合う佐藤家の教育は、何かと感情的になりがちな子供の苦手分野においても徹底されていた。
「僕は小学校の時に勉強が全然出来なくて、理科か社会のテストで10点しか取れなかったことがあるんです。本来ならば怒られても仕方ない成績だと思いますが、僕の父はその答案を見ながら『正解出来たところはお前の強みだ』と言ってくれて。『完璧な人間はいないから、とにかく長所を伸ばして、足りないところは誰かに力を貸してもらいなさい。その代わりに誰かに応援してもらえるような人間になることを目指しなさい』と、励ましてくれたんです」
どんな時にも常に前向きな言葉とともに育った佐藤氏は、やがて2人の父親に。佐藤氏は自身の子供たちにも、かつての佐藤少年と同じように「生きているだけで最高だ」などの前向きな言葉を投げかけながら、毎日楽しく過ごしているというが……。佐藤氏が子供と接する時に意識しているのが、「子供たち自身が選択し、何事に対しても高いモチベーションで臨めるような環境を整えること」だという。
「先日、息子が『将来はのび太くんになりたい』という夢を語ってくれたんです。それに対して、僕は『おそらくドラえもんに出会うことはないだろうけど、他人を頼れることは素晴らしい才能だと思うし、のび太くんを目標にしたら、意外と良い人生が歩めるかもね』とだけ伝えて、あとは本人に委ねました。僕は、子供たちに全力でやりたいことに取り組んでもらいたいと思っているので、子供に何かを強制するのではなく、僕の知っている情報やヒントを参考にしながら、目指すかどうかは本人に決めてもらう。子供たちが主体的に考えながら、目標に向かって全力で頑張れることをとにかく大切にしているんです」
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