「異常な数に恐怖を覚えました…」 重要文化財「上野東照宮」で“偽アカウント”が120個まで増殖の“怪”

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上野の歴史ある神社、偽アカウントの被害に

 上野公園の一画に、金箔で装飾されたきらびやかな社殿を有する神社がある。その建造物の多くが重要文化財に指定されている上野東照宮である。1627(寛永4)年、僧・天海によって徳川家康を祀る東照社が上野の地に造営されたのがはじまりで、1646(正保3)年には朝廷から宮号を賜って、東照宮と改称されて現在に至っている。歴史を感じさせる参道がある境内は、常に参拝客でにぎわいを見せている。

 そんな歴史的な神社が、Xで大量の偽アカウントが作成される被害に遭った。一時はなんと、120件もの偽アカウントが作成される事態となってしまったという。幸いにも、現在削除されているものの、こうした被害は以前からSNSで相次いでいる。特に芸能人や有名企業をターゲットにした偽アカウントが多く作成され、社会問題化している。注意はたびたび喚起されているが、一向に減る気配がない。

 こうした偽アカウントは時に“なりすまし”を行って、詐欺サイトに誘導することもある。言われるがまま詐欺サイトに個人情報を入力してしまい、被害に遭った人も少なくない。誰しもが被害に遭う可能性があり、警戒すべき問題といえるだろう。今回、偽アカウント問題が発覚し、解決するまでの経緯を禰宜の嵯峨まき氏に話を聞いた。

作成された理由はわからない

――なぜ、Xで上野東照宮さんの偽アカウントが作成されているのでしょうか。

 まったく理由はわかりません。ただ、偽アカウントは神社を訪れる方の善意を悪用しようとしているのかもしれません。私は神社で使っているパソコンに何かあると危険なので、詳細に目を通してはいないのですが、確認してくださった方によると、震災復興支援の偽サイトに誘導するものがあったそうです。そして、LINEの登録をさせられたりするようで、何らかの個人情報を収集する目的があるのかもしれません。

――偽アカウントの影響で、何か発生したトラブルはありますか。

 幸いなことに、トラブルや詐欺の被害はございませんでした。それにしても、普通に考えたらもっと大きな神社がターゲットになりそうなものですが、どうして当社が目をつけられたのか、不可解です。

――今回の偽アカウント事件が発覚した経緯を教えてください。

 4月19日に、参拝者の方から当社の巫女に、X上に偽アカウントができていると情報提供をいただきました。それまで私たちはまったく気づいておらず、慌ててXを検索したところ、3件のアカウントが作成されていることを確認しました。それらについてはすぐにXに「なりすまし」の報告をいたしましたが、その後どんどん増え続け、22日の朝には偽アカウントが120件にもなっていました。

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