僕を“おにいちゃん”と呼ぶ9歳年下のカノジョ…「そのうち捨てられるのでは」 アラフォー男性が抱き始めた束縛願望

国内 社会

  • ブックマーク

【前後編の前編/後編を読む】“妹”と暮らし“姉”に惹かれ…「血の繋がらない姉妹」の間で揺れた41歳男性の10年間

「家族」はその人にとってどういう存在なのだろう。また、どういう存在であれば理想的なのだろうか。生育歴や個人の経験、考え方によって、この答えは十人十色だろう。そしてなにがベストかの答えはない。

 大久保晶一さん(41歳・仮名=以下同)は、パートナーの愛実さんとの10年にわたる関係を振り返り、「僕は一緒にいたいだけだった。彼女は“家族”がほしかった。今になってみると、大きな違いはなさそうで実は求めるものが大きく違っていた」と言う。

 晶一さんが愛実さんと知り合ったのは31歳のとき。職場近くの喫茶店でウェイトレスをしていた愛実さんに声をかけ、休日にデートを重ねて交際を申し込んだ。だが当初、答えはノーだった。

「どうしてダメなのかと聞くと、『あなたはまっとうな人だから』って。なんだかそういうすれっからしみたいな言い方が似合う女なんですよ。でも実際にはかなりきまじめだとわかっていた。一見、ぶっきらぼうに見えるけどテーブルの拭き方や水の差し方などがとても丁寧だったから」

高校中退、“独特のセンス”を持つ愛実さん

 何度もアプローチをかけた。デートには応じるがつきあうことには後ろ向きな彼女を、もっと知りたいと思っていた。

「あるとき彼女が『帰りたくない』と言ったんです。週末だったし、じゃあ、朝までカラオケしようと。僕は彼女の手ひとつ握りませんでした。つきあうことに関しては了解をもらっていなかったから。でもそんな僕の態度に彼女は感じるところがあったみたいです」

 つきあってもいいよと言われたのはその数日後だった。彼は愛実さんの年齢を知らなかったが、当時22歳。9歳も年下だった。いつも濃い目のメイクで武装しているような感じだったから、20代後半だと思い込んでいた。今度は彼が怯んでしまう。

「彼女、独特のセンスがあるんですよ。なかなかの読書家でときどき、ふっとそういう素養が出るんです。だから話していたおもしろかった。僕の知らないこともたくさん知ってる。でも彼女が言うには高校中退なんだそう。煙草や酒で退学になったみたいです。高校の近くに大学があって、そこの学生たちとしょっちゅう居酒屋に入り浸っていたみたいで……」

 “ごく普通に育ってきた”晶一さんにとっては、なんとも興味深かったようだ。退学後は大学生と同棲したり、美大生の絵のモデルになったりしながら「なんとなく生活してきた」のだという。

「複雑な家庭で育ったんだろうというのは察しました。彼女が話せるときが来たら話してくれるはずだとも思っていた」

次ページ:徐々に生い立ちが明かされて…

前へ 1 2 3 次へ

[1/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。