体長2メートル、300キロの「巨大ヒグマ」が目の前に…「秋田八幡平クマ牧場事件」殺人クマ6頭と「猟友会」攻防の一部始終 「殺らなければこっちが殺られる」
2、3、4頭目
「こっちにもいるぞ!」
他の猟友会員の声が聞こえた。移動すると、そこには2頭のヒグマがいた。
「そのうち1頭は2メートル、300キロ級だった。俺は近くの手すりを使って銃身を支え、頭部を狙って撃った。一拍おいて、他の会員も撃った。その熊が倒れても、近くにいるもう1頭は立ち上がるだけで、襲い掛かってくる様子はなかった」
すぐさま次の弾を装填し、もう1頭を狙って引き金を引いた。
「3頭目の熊を仕留めた後、誰かが“おい、あれは人だぞ”と言った。ハナさんだったんだと思う。それを聞いて、“人を喰ってる熊なのか”と心底寒気がした。さらに探してみると、餌場の付近に4頭目の熊がいるのを見つけた。俺を含む5人が一拍おきに引き金を引いて、この熊も仕留めてやった」
5頭目
それからしばらくの間、他に脱走した熊がいないか探す作業が続けられた。そして午後2時頃、発見された5頭目のヒグマに向けてライフルを発射したのは、猟友会救助隊の1人、C氏(63)だった。
「他の3、4人と一緒に撃った。弾が当たった感触はあったけど、熊はくるりと体を回転させ、トタン屋根付きの餌場にもう1頭と一緒に逃げ込んでしまった」(C氏)
同じ頃、すでに現場には20名ほどの猟友会員が集まっていたが、その中にD氏(64)の姿もあった。
「他の会員から“4頭を射殺し、2頭が餌場に隠れている”と聞きました。被害者2人はすでに手遅れだという。何とか助ける方法はなかったのか、と悔しかった」(D氏)
餌場からヒグマが出てきたら狙い撃つため、D氏はライフルを構えていた。
「とにかく熊を撃つことに集中していた。人を襲った熊は、次も必ず人を襲う。人喰い熊は殺さなければダメなのです」
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