「生活保護を300万円不正受給」「ゴミ屋敷を残して夜逃げ」 ホームレス支援をするオウム元最高幹部が忘れられない「クソ姉妹」
「ホームレスとオウム信者は違う」
自分都合で社会との接点を絶って生きる人たちに、今も増え続けるオウム信者の姿が重なって見える。
しかし、野田氏はホームレスとオウム信者は明らかに違うと断言する。
「ホームレスもオウム信者も、社会に居場所がないということでは変わりないかもしれません。でも、オウムに関していえば自分の意思で入ったのですから、責任は自分自身にあります。一方ホームレスは、なろうと思ってなる人は、まず、いません」
それは元幹部信者として、自らに向けた戒めの言葉のようにも聞こえるが、オウムもホームレスも、ひとたびその世界に足を踏み入れれば容易に後戻りできず、気が付けば社会の負担となっているのも事実である。野田氏はそれを間近で見続けてきた。
「かつてのオウム信者も高齢化が進んで、最近は介護施設に入ったとか、亡くなったという話も伝わってきます。昨年はアレフのさる幹部ががんで亡くなりました。最後まで医療を受けることを拒否したそうですが、それでも死んでしまえば行政の世話にならざるを得ない。誰にも頼らず生きるということは、この日本では難しい。今、この仕事をしながらそのことを強く感じています」
「その時が来れば、資産をパッと寄付しようと」
そう言う野田氏は、数年前、長年支援活動を共にしてきた元信者の女性と結婚し、今は夫婦二人三脚で事業に取り組む。また、連絡を絶っていた実家との交流も再開し、年に何度かは母親の手料理を食べに帰省しているという。そして、
「私もまもなく還暦です。いつまで生きるか分かりませんが、その時が来れば、持っている資産を、被害者賠償はもちろんですが、福祉とかにパッと寄付しようと思っています」
入信から約40年、ようやくたどり着いた元オウム幹部の現在地である。
前編【元オウム最高幹部が語る、ホームレス支援の「大家業」に人生を捧げる理由 「家賃が回収できず、ゴミ屋敷にされることも」】では、野田氏がオウム真理教に疑問を抱き、脱会するまで、そしてその後ホームレス支援に挑戦した理由について語ってもらっている。
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