元オウム最高幹部が語る、ホームレス支援の「大家業」に人生を捧げる理由 「家賃が回収できず、ゴミ屋敷にされることも」
「“貧困ビジネス”と言われるが……」
結局、ボランティア活動で経験した生活保護の手続きと、オウム時代に覚えた不動産取得のノウハウをもとに、独自の「ホームレス支援事業」を始めた。09年春、知人に借りた中古の一軒家に3人のホームレスを受け入れるという、手探りの中でのスタートだった。
「最初は派遣村とか公園でホームレスに声をかけることから始めました。一緒に役所に行って生活保護申請をし、その中から家賃を受け取るのです。よく“貧困ビジネス”とか言われますが、ビジネスでなければ継続的な支援はできません。そういう意味では私がやっていることは大家(おおや)業なんです」
野田氏の“ビジネス”は折からの不景気が追い風となり、軌道に乗るまで、そう時間はかからなかった。
「資産は1億円はあると思う」
ホームレス支援の“大家業”を始めて今年で17年目。現在、野田氏が所有、管理する物件はシェアハウスやアパート、マンションなど約70軒。入居者は300人を超えるという。オウム被害者の賠償についても、これまで個人で2000万円以上を支払ってきた。
そうなると、当然気になるのは、現在の資産である。
「大家業というのは、転がせば転がすほど雪だるま式に大きくなるものですし、物件は常に動いているので、何とも言えませんが、おそらく1億円はあると思います。ただ、私がやっているのは不動産屋任せの普通の大家さんとは違います。まずは支援が大前提ですし、店子も自分で探さなければならない。最近は問い合わせも多く、つねに満室状態ということもあって、一般の不動産業者もこの事業に参入してきましたが、決して楽なものではありません」
たしかに野田氏の外見は「裕福」という言葉からはほど遠く、汚れた作業着に、手にはこすっても簡単には落ちそうにない白いペンキがこびりついている。
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