無視、執拗なダメ出し、「マイクを草むらに隠されたこともありました」 「国民民主党」パワハラ騒動 被害を訴えた女性市議の告白

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毎回ダメ出し

 そんな状態が続いていた2023年末。工藤市議にとって決定的な出来事があった。

「その頃はいつ解散があるかわからない状態。岡野さんの選対本部が組織されることになりました。そして県連から私は選対の事務局長に任ぜられたんです。でも、私はまだ一年目の市議で議会の仕事も忙しい。何より、岡野さんが私を無視している状態なので、事務局長になっても選対がうまく回るわけがありません。そうした事情を県連に伝えたら“ビジネスライクで良いからやりなさい”と言われ、結局、受けざるを得なくなりました」

 こうして岡野選対はスタートした。しかし、彼女にとってそれは悪夢の始まりであったという。

「無視は続きます。また、選対に入ってきた県連の天野行雄幹事長と、千葉県の電力総連の幹部から、さんざん叱責が続くようになったんです。私にも至らない点があったのは事実です。しかし、市議の仕事も全うしなければいけないので出来ないこともありました。また、ちょうどその頃、家族が難病で手術と治療が必要になり、そちらにも時間が割かれるようになりました」

 が、会議では、工藤市議に執拗なダメ出しが続けられた。

「仕事があるのは他の人も一緒でしょう」
「(活動を)やりたくないということですか」
「もう工藤さんは外してやりましょう」

 工藤氏や他の市議が彼らの方針に異を唱えると、「そんなんじゃ次の選挙で推薦は出せませんよ」と言われることも。

 こうした会議は月に一回ほど開かれ、それに加えて、選挙に関する種々の会議がある。その度に“圧”を感じ、工藤市議の心と身体は壊れ始めたという。

存在を無視

「会議の2日前くらいになると、瞼の痙攣が始まるようになってきたんです。はじめは疲れが原因かなと思っていたんですが、会議が始まり、岡野さんや天野さん、電力総連の幹部さんが来ると、目がもう開けられなくなるくらいの痙攣が起きる。どうしようと思っていましたが、会議が終わり、会場を出て車に乗るとそれがピタリと止まるんです」

 あるいは、

「家で朝、主人と子どもを送り出して1人になると、途端に涙がぶわっと出てきて止まらなくなるようになりました。あるいは、岡野さんと街頭に立つと、吐き気をもよおすことも」

 これはまずい。そう思い始めたという。そして岡野氏による不可解な行動も、症状を悪化させていった。

「私と他の市議がいるところに、岡野さんが誰かを連れて来る。すると、その市議にだけその人を紹介し、私の前は素通りするんです。私の存在を無視したいんですね。また、マイク隠しもされて……」

マイクを植え込みに

 4月、本八幡駅で街頭演説を行った時のことだ。

「岡野さんの演説の前に各市議がマイクを握り、スピーチをしました。普段なら、市議が演説をしたら次の市議にマイクを回しますが、なぜかその時は市議が一旦岡野さんにマイクを戻し、岡野さんが次の市議にマイクを渡すという流れになっていました」

 工藤市議の前の市議が演説を終え、岡野氏がマイクを受け取る。と、岡野氏はそれを工藤市議に渡さず、横にあった花壇の植え込みに埋めた(うずめた)という。

「一瞬何があったのかと思いましたが、すぐに気付きまして笑ってしまいました。“あっ、これをしたかったんだな”と。仕方なく花壇からそのマイクを拾って演説をしました。幼稚ないじめだなと思いました」

 厚労省では、パワハラの定義として、「職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性(優越的な関係)を背景として、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える」ことを挙げている。

 こうした出来事に彼女の身体と心は蝕まれていった。そして、ついに精神科を受診することに。そこで彼女が医師から言われたことは――。【後編】では、その後、離党から現在に至るまでの経緯を詳述する。

デイリー新潮編集部

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