株価大暴落でもテスラは「まだ大丈夫」? 反感買うマスク氏の裏で注目すべき5つの安心材料
2029年に株価は2700ドルという予想も
テスラの強さの一つが、テスラが有する運転のデータ量で、これはWaymoや他の競合を遥かに凌駕していると言います。この圧倒的な実地データの蓄積こそが、テスラが次世代FSDにおいて他社を突き放す根拠なのです。
そんなテスラは、2025年6月にテキサス州オースティンで「ロボタクシー」の商業展開を予定しています。最初の段階では遠隔監視型オペレーターを配置し、安全性を担保しながら段階的に導入が進められると見られています。
このロボタクシーの普及により、テスラのビジネスモデルも大きく転換していきます。現在は「車を売ることで一度きりの収益を得る」モデルですが、今後はソフトウェア課金型の「自動運転プラットフォーム」へと移行していくことが可能となります。
このプラットフォームの提供により、総合的な利益率は50%を超えるとキャシー・ウッド氏は予測しています。
アーク・インベストメントは、2029年にはテスラの株価は2700ドルへ達するという非常の強気の予想をだしていますが、その価値のおよそ63%がロボタクシー事業からとみています。
テスラは、オースティンでロボタクシーのサービス開始後は、自動運転に対する消費者の受け入れ度の高い東西海岸の大都市で、急ピッチにロボタクシー事業を展開すると見られています。
テスラはロボット企業でもある
テスラの将来的な強みは自動運転だけではありません。もう一つ注目すべきは、人型ロボット「オプティマス」の存在です。
すでに工場や物流現場で実証実験が進められており、将来的には人間の労働力の代替となる可能性があります。ウッド氏は、このオプティマスの価値は、ロボタクシーをも超えると述べています。
また、テスラはAI企業「xAI」や脳インターフェース開発の「Neuralink」などとも連携し、これらを横断的に統合していく構想を描いています。
短期的にポジティブな材料もあります。
一つはコンパクトSUV・Model Yの刷新モデルの登場です。現時点で、非常に人気が高く、納期はかなり先になりそうです。また、今年第2四半期には、Model Yの約半額の価格帯(3万ドル程度、もしくはそれ以下)となる新しい低価格モデルが投入される見込みです。
マスク氏によると、「テスラは需要の問題ではなく、価格の手頃さの問題を抱えている」と述べており、価格を大幅に引き下げることで新たな需要層を開拓する狙いがあります。
一方で、リスクもあります。まずは政治的なリスクです。トランプ政権の関税政策や中国との対立が再燃すれば、EV部品の供給網が打撃を受ける可能性があります。
そして、自動運転車に対する社会的受容リスクです。FSD技術がどれほど優れていても、事故が起きた際の責任の所在、政府認可、市民の心理的な抵抗など、乗り越えるべき壁は少なくありません。
市場の過度な期待も挙げられます。足元では納車台数の減少や利益率の低下も見られ、投資家の失望による売りが続く可能性もあります。
それでもテスラは、「今」だけを見てはいけない企業です。テスラの株価は激しく変動します。しかし、それはこの企業が「単なる自動車メーカー」ではなく、「未来を創る企業」であることの証左と言えるでしょう。
今後、自動運転、ロボタクシー、オプティマスといった領域が次々に花開くことで、テスラは私たちの生活そのものを変えていくことが考えられます。投資家としては、目先のノイズではなく、長期の視点でテスラという企業の真価を見極めることが求められているのです。
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