フジ「内定辞退者ゼロ」でも騒動は収まらず…担当記者が明かす局内の風景「他局との勝負をあきらめている印象すらある」
幹部たちの素顔
中居氏の問題で後処理を見誤り、騒動に発展させてしまった責任を取ったことで、当時の同局社長・港浩一氏(72)、同じく取締役副会長・遠藤龍之介氏(68)が役員を退任。そして、問題発生時にフジ専務だった大多亮氏(66)も系列局・関西テレビ放送社長の職を辞した。いずれも、フジの“お歴々”だが、懇親会で酒が入ると、その素顔をのぞかせていたという。
「3人とも、過去の功績を褒めると、とても機嫌が良くなり、円滑に会話ができます。港氏の功績といえば、なんといってもとんねるずの冠番組『とんねるずのみなさんのおかげです』。番組内で公開予定の映画や、洋楽のミュージックビデオのパロディーをコントにすると、これ以上ない宣伝になったそうで、『映画会社の人がどんどん売り込みに来るから、僕の席の前に行列ができてたんだよね~』と、うれしそうに振り返っていました。もっとも、最近になって問題が発覚した『オールナイトフジコ』は港氏肝いりの企画でしたが……」(同)
遠藤氏は小説家・遠藤周作氏の子息として知られる。
「堀江貴文氏率いるライブドアがフジに買収を仕掛けていた当時、広報部長としてマスコミ対策などで活躍し、22年6月から25年4月2日まで日本民間放送連盟(民放連)の会長を務めていました。広報部長当時は、かなりおカタイ印象でしたが、民放連会長時代になると、『民放連は会議ばっかりで、つまらないんだよね~』と、よく愚痴っていました」
大多氏は「東京ラブストーリー」や「101回目のプロポーズ」などを手掛け、トレンディードラマの全盛期をけん引した名物プロデューサーとして知られる。
「氏が手掛けたドラマの名場面の話でよく盛り上がりました。他には学生時代によく地方でスキーをしていたとか、いまだに頭の中がバブル時代で止まっているのかな、という印象で、いつも“かっこつけた感”がありました。社長辞任会見の際、相変わらず髪型が決まっていて表情も若々しく、あれでは悲壮感はまったくなし。世間の同情は得られないでしょう」
大多氏は早大卒。入社後、報道局に配属されていた時期もあったが、ドラマ班に配属されると環境が一変。芸能人たちとの距離が近くなり、「東京ラブストーリー」でヒロインに起用した鈴木保奈美との不倫疑惑を報じられたこともあったが、
「港氏との社長争いに負けてカンテレへ。その恨みもあってか1月の会見では港氏に批判めいたコメントをしていました。ところが、第三者委員会の報告書では、自身も飲み会を主催しそれを女性社員が不快に感じていたことが社内アンケートで明らかに。結局、港氏とやっていることは変わりませんでしたね」
今回の問題に対する港氏と大多氏のあまりにもずさんな対応は、第三者委員会の調査報告書でしっかりと糾弾されている。
「約400ページの報告書に目を通しましたが、予想を上回る無秩序ぶりでした。港氏と大多氏に対しては、『自分の娘がこんな目にあったらどう思ったのか』という怒りに近い感情を覚えました。港氏はバラエティー、大多氏はドラマの現場で、どうやって視聴者の心をつかむか苦心し、高視聴率を獲得してきました。特に大多氏は、トレンディードラマで、現代を生きる繊細な女性の内面を描くことが得意だったのですが……。結局、2人とも経営者には向いていなかったということでしょうね」
先述の遠藤氏だけでなく、フジには大物を親に持つ社員が多く、それゆえコネ入社がまかり通っていると言われてきた。
「有力政治家の子弟もいますが、芸能人の子息はキリがなく、俳優の宇津井健さんの息子の隆氏、アナウンス部では歌手・藤井フミヤの息子、藤井弘輝アナ。プロ野球界のレジェンド・田淵幸一氏の息子、田淵裕章アナ。ほかには俳優の陣内孝則さんの息子も有名です。俳優・高橋英樹さんの娘でフリーの高橋真麻アナは、再三にわたってコネ入社を否定していました。たしかに、実力はありましたが、こうした顔ぶれを見ると、コネと言われてしまうのも仕方ないのかも」(先のフジ局員)
[2/3ページ]

