東大なんか入らなきゃよかった…地方公務員で味わった学歴“逆”差別 関大上司の嫉妬を煽ったフジの「悪趣味バラエティ」
「僕が関大出身ならこんなにつらい思いをすることはなかった」
通常業務の全体像をなんとか把握して仕事にも慣れると、吉岡くんは「便利使い」されるようになったという。
「ぼくにも問題があるにはあって……。『できません』とは言いづらいんですよね。『できない』と伝えると、連中は鬼の首を取ったように喜ぶんです。『東大やのに〜』なんてケタケタと笑われて。腹立たしいじゃないですか」
東大を出ているからといって、なんでもそつなくこなせるわけではない。人並みに得手不得手はある。しかし、「できない」とは言えない。それは、東大卒業生であるプライドが邪魔をする。僕も昔はそうだったが、「そんなこともできないの」「こんなことも知らないのか」などと言われると、胸の奥がズキンとうずく。
「残業代が満額出る部署だったことだけが救いでしたね。月の基本給は約19万円でしたが、残業代を足すと30万円を超えていました」仕事の量は多かったが、そのぶん給料には反映されていたので、「ある程度はガマンできた」と吉岡くんは言った。
「もともと仕事が過量にある忙しい部署で、誰も自分の手持ちの仕事を増やしたくないんです。でも、先ほどの関西大学出身の先輩方は、新人のぼくが大きな仕事を任されているのに、自分たちには誰にでもできるような作業しか回ってこなかったことが我慢できなかったみたいで……。ずいぶんと嫌がらせを受けました」
吉岡くんは当時の同僚について「本当にくだらない人たちでした」と憤慨しつつ、こうも述べた。
「ぼくにも傲慢なところがあるので、『あなた方に簡単な仕事しか回ってこないのは、あなた方にその能力がないからですよ』と内心では思っていました。それが知らずに顔に出ていたのかもしれませんねぇ。仕事が忙しいこともあって、部署全体にフラストレーションがたまって、空気がどんどん悪くなっていきました。ぼくの存在が原因のようでしたし、実際、面と向かって『自分(お前)のせいやで』なんてことも言われました。でも、やっぱり理不尽ですよね」
環境によっては、東大卒という肩書がその人のウイークポイントになることもある。
「ぼくが東大卒でなく、仮に関西大学卒であれば、あそこまでつらい目には遭わなかったはずです」
それまで地元の大学より高学歴の人間がいなかった職場に、東大卒という「異物」が一つ混入するだけで、組織全体の人間関係がギスギスすることもあるのだ。
***
この記事の前編では、同じく『東大なんか入らなきゃよかった』(新潮文庫)より、しばしば指摘される「就活に弱い」「仕事で使えない」東大生が実情について、著者の池田渓氏によるレポートをお届けしている。企業の採用担当者が忌避する「東大までの人」の特徴とは――。
[4/4ページ]







