記者団の真ん前で大粒の涙、しゃがみ込むと背中を震わせて号泣…「松山英樹」21年マスターズ優勝までに流した涙の記録

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ああ、ジョージア・パインだ

「ゴルフの祭典」マスターズが本日10日(日本時間)に開幕する。今年は誰がグリーンジャケットを羽織るのか。巷では優勝予想に花が咲いている。

 そんな中、ここ数年の私は、マスターズ・ウィークが訪れるたびに、「あの日」のことを思い出す。

「あの日」とは、2021年4月11日のこと。松山英樹がマスターズを制し、日本の男子選手として史上初のメジャー・チャンピオンとなったあの日のことは、今でも鮮明に覚えている。

 2位に4打差の単独首位で最終日を迎えた松山には、明らかに緊張が見て取れた。1番ホール。3番ウッドで打ち放った第1打は、いきなり大きく右に曲がり、打球は「ジョージア・パイン」と呼ばれる松の木の枯れ葉が絨毯のように広がった林の中へ吸い込まれていった。

 そこは選手泣かせの厄介な場所だった。米国のTV中継で解説を務めていた英国人レジェンド、ニック・ファルドが「ああ、ジョージア・パインだ……」と沈痛な声で唸った。

シャウフェレが自滅し松山が辛勝

 1番はボギー発進となり、2位との差は一気に4打から1打へ縮まってしまった。しかし、松山は2番のバーディーで奪還し、3番では見事な寄せワンでパーを拾うと、ようやく安堵の色を覗かせた。

 そこから先の展開は、もちろん記録を見返せばすべてわかるのだが、どうしてだかあまり印象には残っていない。ドキドキさせられた出だしの3ホール以外で今でもよく覚えているのは、ザンダー・シャウフェレに詰め寄られた松山の上がり3ホールをひやひやしながら見つめたことだ。

 シャウフェレは16番で池に落とし、トリプルボギーを叩いて自滅。16番では松山もボギーを喫し、最終18番ではパーパットを外したが、結果的に1打差で逃げ切った。辛勝できたことは、涙を流しながら度重なる悔しさを乗り越えてきた松山に対する、神様からの贈り物のように感じられてならなかった。

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