IT知識は“ドリル優子”や“ルフィ強盗団”以下…中居正広氏「見たら削除して」と証拠隠滅を指示もあえなく“復元成功”に専門家もあきれ顔
甘かった中居氏とB氏
「メールを“フルカラーで印刷された豪華本”だと仮定してみましょう。メールを削除するということは、コピー機で“豪華本の劣悪な複写”を作成して豪華本は捨て、さらにコピーをシュレッダーにかけ、バラバラの紙片を倉庫の片隅に放り込んだようなものです。画質の劣悪なコピーをシュレッダーで細分化したので、保管に必要なスペースが大幅に減った状態だとも言えます。削除されたメールの復元とは、このバラバラになった紙片を分析し、繋ぎ合わせてコピー紙を蘇らせる作業だと言えます」
そんなことがうまくいくのか、と首を傾げる人もいるだろう。その疑問は決して間違っていない。場合によっては復元に失敗することもあるという。
「削除されたメールの数が膨大だと、失敗の可能性は高まります。そしてB氏が削除した325件という数は、これはなかなかの量なのです。実際、中居氏とB氏がやりとりしたメールのうち、少なくとも一部は復元に失敗するのではないかという観測も流れていたのです。しかし結果はご存知の通り、復元は成功を収めました。第三者委員会が依頼したfoxcale社は、デジタル・フォレンジックの世界では超一流の会社として知られています。その評判に違わない仕事をしたと言えるのではないでしょうか」(同・井上氏)
ただし、foxcale社の仕事が卓越していたことと、中居氏とB氏が「メールの削除」を甘く見ていたことは別問題だという。
「ルフィ」以下のITリテラシー
「中居氏とB氏のITリテラシーは極めて低かったと言わざるを得ません。スマホやパソコンでメールを削除しても、復元される可能性が高い。そのことは特殊詐欺に関する報道など、日頃からニュースに目を通していれば把握できるはずです。例えば2014年10月、週刊新潮は小渕優子氏による政治資金規正法違反の疑いを指摘しました。すると12月、朝日新聞が小渕氏の事務所に設置されていたPCなどのハードディスクにドリルで穴が開けられ、破棄されていたと報じました。B氏も完璧に削除したかったのなら、“ドリル優子”を見習ってパソコンやスマホを物理的に破壊すればよかったのです」(同・井上氏)
ちなみに報告書によると、デジタル・フォレンジックの対象となったB氏のデジタル機器は、B氏の私有スマホと、フジテレビが貸与した社のスマホとPCだったという。
「会社が貸与したスマホやPCの場合、メールのやり取りは会社のサーバーにも残されます。スマホやPC本体の復元だけでなく、サーバーのデータも活用できますから、成功率は上昇します。要するに中居氏とB氏は通話だけにとどめず、メールのやり取りをした時点で致命的なミスをおかしていたわけです。もし二人がデジタル機器を使って秘密裏に連絡を取りたいのなら、少なくとも秘匿性の高い通信アプリであるテレグラムを使うべきでした。闇バイトの指示役として『ルフィ』の名前を使っていた渡辺優樹被告など、特殊詐欺グループのメンバーはテレグラムを悪用していたことが明らかになっています」(同・井上氏)
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