IT知識は“ドリル優子”や“ルフィ強盗団”以下…中居正広氏「見たら削除して」と証拠隠滅を指示もあえなく“復元成功”に専門家もあきれ顔

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削除前日は週刊文春の発売日

 もちろん中居氏に対する批判はB氏以上だった。何しろ生命の危険を医師が心配したほどの精神状態だった女性A氏が、苦しい葛藤を経て退職を決めたのだ。

 それを中居氏は「ひと段落」と表現した。この首を傾げざるを得ない感覚が公のものになってしまった以上、今後、芸能活動の復活はもちろん、公の場に姿を見せることすら困難なのではないか。少なくとも多くの人々が“ドン引き”したのは間違いないだろう。担当記者が言う。

「報告書が発表されると、会見ではフジテレビが中居氏の刑事責任を問う可能性が質問されました。清水賢治社長は信頼回復を最優先としながらも、『あらゆる選択肢が検討に残る』と否定はしませんでした。それほど深刻な性暴力だったからこそ、中居氏やB氏は隠蔽工作に走ったのではないでしょうか。第三者委員会の調査によると、B氏は2022年5月から25年1月まで『有力出演者タレントU氏』や中居氏らとやり取りしたショートメールなど325件を削除しました。ちなみに削除を開始したのは今年1月9日から2月1日にかけてと発表されています」

 中居氏の性暴力問題に関する時系列を作り、削除の開始日がどんなタイミングに位置づけられるか見てみよう。削除前日の1月8日には週刊文春の1月16日号が発売され、「中居正広 X子さんの訴えを握り潰した『フジの3悪人』」との特集記事が掲載された。

「デジタル鑑識」の威力

 削除を開始した9日には、「お詫び」との文書が中居氏の経営していた個人事務所の公式サイトに発表された。女性A氏との間に《トラブルがあったことは事実です》と言及しながらも、トラブルの具体的な内容については沈黙を守った。一方で示談が成立していることから、《今後の芸能活動についても支障なく続けられる》と意欲を示していた。

 中居氏がメールで削除を指示し、実際にB氏が300件を超えるメールを削除したにもかかわらず、報告書には生々しいやり取りが記された。なぜ第三者委員会が2人の“隠蔽工作”に屈しなかったかと言えば、デジタル・フォレンジック調査が成功を収めたからだ。

 デジタル・フォレンジックは「デジタル鑑識」と訳されることもある。犯罪捜査や裁判の審理過程でパソコンやスマートフォン、サーバーなどのデジタル機器から証拠を探すことを指す。中居氏とB氏の件で言えば、削除されたメールという“証拠物件”の復元を図ったわけだ。

 なぜパソコンやスマホでメールを削除しても、デジタル・フォレンジックで復元することができたのか。ITジャーナリストの井上トシユキ氏に解説を依頼した。

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