「“男のメンツ”が邪魔して孤独に…」 認知症グレーゾーンの見分け方とは 「約40%が5年以内に認知症に」

ドクター新潮 ライフ

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褒められるより褒めた方が脳は活性化する

 しかし、とりわけ男性は、孤独回避のためとはいえ新たな輪に参加するのが苦手な傾向があります。「男のメンツ」というヤツが邪魔するようです。コミュニケーションも女性より苦手な人が多いように見受けられます。そういう人は、無理に一念発起し、ワクワク感を求めてカルチャーセンターなどに飛び込んでみる必要はありません。現実問題、なかなか難しいでしょう。お勧めは、例えば小学生の通学の見守りをする学童擁護員。過度なコミュニケーションを求められることはなく、子どもからお礼を言ってもらえ、その上いくばくかの報酬も頂けます。

 また、「利他」に関しては、褒められるより褒めた方が脳が活性化すると指摘されていて、まさに「情けは人の為ならず」なのです。

 そう言われても、これまでの生き方を変えて、いきなりワクワクしながら生活するなんて無理……。そう思われる人がいるとしたら、朗報があります。「挑戦」「変化」「生きがい」「孤独の回避」「利他」と縁の薄い生活をしていたあなたには、その分、“伸びしろ”がある。つまり、仮に認知症グレーゾーンに突入してしまっていたとしても、改善に取り組めばUターンできる可能性は高いともいえるのです。

 認知症を遠ざけたいのであれば、それぞれに合ったやり方で、とにかく「年がいもなく生きる」。これが、人生100年時代における、還暦後のより良き人生の処方箋です。

朝田 隆(あさだたかし)
認知症専門医。1955年生まれ。東京医科歯科大学(現・東京科学大学)医学部卒業。筑波大学名誉教授、東京科学大学客員教授。山梨医科大学精神神経医学講座、筑波大学臨床医学系(現・医学医療系臨床医学域)精神医学教授などを経て、2015年よりメモリークリニックお茶の水院長に。これまで2万人以上の認知症患者と接してきた。『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』など、著書多数。

週刊新潮 2025年4月3日号掲載

特別読物「自分でできる『認知症グレーゾーン』チェック法」より

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