「“男のメンツ”が邪魔して孤独に…」 認知症グレーゾーンの見分け方とは 「約40%が5年以内に認知症に」
老化現象と認知症グレーゾーンの違い
・「暴走老人」
一時期、感情をセーブできない高齢者をこう表現することがはやりました。確かに、先ほど触れた前頭葉は感情のコントロールもつかさどるため、感情の起伏が激しくなった高齢者は、認知症グレーゾーンかと心配になるかもしれません。
しかし、瞬時に怒りの感情などが沸騰してしまうのは自然な老化現象の範囲内であり、問題は感情のブレーキが利かなくなり、場所柄を弁(わきま)えずに大声で怒鳴ったりしてしまうことです。こうなると、認知症グレーゾーンの疑いが出てきます。
・「俳優の名前が思い出せない」
テレビを見ていて、こんなもどかしさを感じたことがある中高年は多いと思います。しかし、これは誰にでも起こる老化現象であり、気にする必要はないでしょう。一方、子どもや孫といった、ごく身近な家族の名前を思い出せなかったりした場合は認知症グレーゾーンの要注意信号です。
・「会議に出る予定をすっかり忘れていた」
「うっかり忘れ」に気付きがくぜんとするのは、大変ショックなことかもしれませんが、手帳を見返して予定を思い出せるようであれば、まだ大丈夫です。認知症グレーゾーンの場合、手帳を見ても何の予定だったかすら思い出せなくなります。
ちなみに、私も手帳に「5時、上野駅」とだけ書いていると、何の予定だったか思い出せないことがあります。「5時、上野駅、山田君」。こう書いておくと、「ああ、上野駅で山田君と待ち合わせているんだった」と記憶がよみがえってくる。このような加齢に伴う記憶力の低下は自然な老化現象の一つです。過度に認知症グレーゾーンの影におびえる必要はありません。
5年以内に40%の人が……
これまで説明してきたチェック項目などを踏まえ、仮にあなたが認知症グレーゾーンに突入してしまっていると分かったとしても、決して諦めないでください。繰り返しになりますが、4人に1人は健常な脳の状態にUターンできます。そして、がんの早期発見が早期治療につながり、生存確率を高めるのと同じで、認知症グレーゾーンも早めに判明すれば早めに対策が取れると、むしろ前向きに捉えてください。
逆に、諦めてしまい何も手を打たないと、認知症グレーゾーンの人は5年以内に約40%の人が認知症になるとされています。ここが最後の踏ん張りどころなのです。
では、Uターンするには何が大切なのでしょうか。
先ほど私は「意・情・知」と言いました。認知症の人であろうと、グレーゾーンの人であろうと、「知」以上に「意」の衰えが先行すると考えた場合、Uターンする最善の方法は「意」を鍛えることです。すなわち、「脱・面倒くさい」こそが認知症対策には欠かせないのです。
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