活動自粛から2カ月「高比良くるま」は何してるんだろう 騒動前に出た漫才論を読み返して見えてきたもの
凡庸なスキャンダルの連発に「くるまよ、お前もか」
って、だからこの本の考察の緻密さ正確さ見事さに関しては、もう既に言われ尽くし、宣言通りに出たM-1で連覇も果たし、全国民から一目置かれる「シン・芸人」として、注目度期待度共にピークに達したわけだが。……達した瞬間あの騒動。
オンラインカジノ疑惑。時効が成立している昔日に、ほんのお試しで。所属の吉本興業がまだどう扱うべきか考えあぐねているうちに、自らのYouTubeチャンネルで超高速電撃自粛を発表してしまう。
その時点では、世間も「この潔さこそくるまらしさ」と、概ね好意的だった。自粛はやりすぎ、くらいの見方が大半で「早く帰って来い」というタームが発生していた。
だが、更にその直後に出た「不倫疑惑」報道で、何だかゴチャつき、皆で口ごもりながら今に至る。
報道によると「夫と子供のいる女性と交際」→「子供も懐いていた」→「女性はくるまとの結婚を視野に夫と離婚」→「しかし結局破局」と。対してくるま側からは「交際開始は女性が離婚した後」「円満に別れた」等の発信が。
「女性に対する過度な取材はやめて」という要請も含めて、よくある疑惑に、よく見る打消し。この凡手っぷりに、彼に対して特別感を抱いていた人々は「くるまよ、お前もか」と何だか意気消沈。オンカジ疑惑の直前に、本書の女性編集スタッフとフライデーされていたことも手伝って、凡庸なスキャンダルの連発に「くるまよ、本当にお前もなのか」とすっかり萎えてしまっていた。
だが、くるまのお笑いに対するアンテナや審美眼、分析力が鈍ったわけではなく。中居正広や松本人志の様に、いなきゃいないで困らんわい、という否定的な見方は少数派で、芸人として再起を期待され、復帰は概ね温かく迎えられる機運が高まりつつある。相方ケムリも、過不足なくキッチリと不在をカバーし活動しているし。「帰って来ないワケがない」というのが世の大筋なのではないか。
実際、オンカジ疑惑に関しては、罰が課されるレベルでもなし。不倫疑惑も、渦中の女性が全くの無反応を貫いているので、悪質性はほぼなしと判断され、忘れられつつある。吉本も、ほとぼりが冷めたら復帰させる腹づもりに違いない。世間も周囲もそんな空気。あとは、本人の決意次第、ということなのだろうが。
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