アリに敗れて人生が激変 一度はボクシングから離れた「ジョージ・フォアマンさん」が“返り咲き”を果たした理由 「かつては力任せの野獣だったが…」【追悼】

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「年を取ることは恥ではない」

 91年、13歳年下のイベンダー・ホリフィールドが持つヘビー級世界王座に挑戦。判定で敗れたものの、予想外の善戦に観客は喝采を送った。試合後、「年を取ることは恥ではない」と語り、人々の心を打った。

「以前とは違って多弁になり、心情や冗談も言う。穏やかで人懐っこい人気者になったのです」(小泉さん)

 94年、18歳年下のマイケル・モーラーにKO勝ちし、ヘビー級世界王者を奪還。45歳にして20年ぶりの返り咲きだ。これは当時最年長の快挙で、フォアマンは“中年の星”と絶賛された。

 97年、引退表明をすることなくリングを離れた。戦績は76勝(68KO)5敗。

「(17歳年下の)マイク・タイソンとの対戦が伝えられながら実現しなかった。タイソンは敗北を恐れて拒んでいたのです」(小泉さん)

「28歳からは伝道師が本業だよ」と笑い、教会に戻る。

 2016年、アリの葬儀では棺を担いだ。複雑な思いは乗り越えていた。

 3月21日、76歳で逝去。

 人生を知るヒーローだと称賛を浴びた特異なボクサーだった。

週刊新潮 2025年4月3日号掲載

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