相次ぐ「介護保険料」値上げのウラで「業者は儲け放題」のカラクリ グループで囲い込む“グレーな無駄介護”はなぜ横行するのか
相次ぐ増税の波の中でも、介護保険料の値上げについてはどこか「しかたない」という雰囲気が漂うが、その舞台裏では驚くほどの無駄介護が横行していることをご存知だろうか。一つの法人内に様々な介護関連サービスが抱えられることで、利用者は知らず知らずのうちに“儲けの輪”に飲みこまれているケースがあるという。善良なイメージを持たれがちな介護業界の「闇」を、関係者が明かす。
***
介護業界の「囲い込み」が問題視され始めている。高齢化によって要介護認定者が急増する中、「相談窓口」から「介護従事者」までが一つのグループ内で完結し、巧みに儲けるシステムが幅を利かせつつあるというのだ。
さる介護関連企業の経営者は言う。
「一つのグループ内に様々なサービスを抱えることで、介護サービスの“川上”から“川下”まで、自社グループでおさえてしまうことができます。するとたとえば、高齢者向け住宅の家賃を割安にして入居者を集めた上で、過剰なまでの訪問介護サービスによって国から高額な介護報酬を得る。こうしてグループ全体として儲ける枠組みが横行するようになっています。知らず知らずのうちに、この“儲けの輪”に飲み込まれてしまっている利用者は少なくないと思います」
利用者を騙している
これまで介護とは無縁だった方にはピンと来ない部分もあるかもしれないが、介護サービスを利用する際にかかわる事業者は、多岐にわたる。主要なところを挙げると、要介護認定がおりてまず相談するのが、各地域で概ね中学校区ごとに点在している地域包括支援センター(包括センター)。ここで介護の司令塔役であるケアマネージャー(ケアマネ)が紹介され、介護プランが作成される。このプランに従って、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に入居したり、デイサービスや訪問介護などを利用したりするというのが、一般的な流れだ。
「実は一番上流にあり、役所の出張窓口としての色が強い包括センターも、自治体が民間委託するケースが増えていて、さらに同じグループ内に介護サービス部門を抱えるところがある。つまり、包括センターに一歩足を踏み入れた瞬間から、グループ内の事業者ばかりが斡旋される循環に巻き込まれてしまう可能性があるのです」(同)
もちろん、「グループ内の事業者が紹介される」という事実だけをもって、「悪」と決めつけられる話ではない。しかし、
「東京なら、区ごとに介護事業所は100も200もあるわけですから、その中からできるだけ利用者に合った事業所を紹介するのがケアマネの仕事のはずですよね。それがグループ内にヘルパーステーションを持つ場合、100あるうちの極めて限定的な施設からしか紹介されないケースがあるということです。ある意味、利用者を騙しているともいえると思います」(同)
[1/2ページ]


