相次ぐ「介護保険料」値上げのウラで「業者は儲け放題」のカラクリ グループで囲い込む“グレーな無駄介護”はなぜ横行するのか
乗っけた分だけ稼げる世界
何より問題なのは、無駄な介護の温床になることだと続ける。
「同じ法人内で囲い込むと、互いの監視の目が緩くなり、どんどん余計なサービスがついてくることがあります。『今月の売上足りてないんだけど、誰か利用者さんでサービス増やせる人いない?』なんて会話が内部で行われ、デイサービスの利用者に訪問介護も追加で提案したり、あるいはふつうに食事ができる人なのに『食事介助』を3食分つけた介護プランをつくるなどして、介護保険の報酬を最大限得られるようにしたりする。介護人材や社会保障費の逼迫が社会問題化している中、『食事中にただその場にいるだけ』などという“無駄介護”が相次いでいるんです」
このような現実について、関東地方で勤務する、あるケアマネージャーはこう指摘する。
「介護サービスを併設するサ高住などは、そういう悪事に使われがちですね。本来はケアマネが面談の上で介護のプランをつくるものなのに、先んじて施設に入居していた高齢者の場合、施設側で要介護度に応じて“保険点数を最大限とれるケアプラン”を勝手に決めていて、『この内容でケアプランをつくってください』とケアマネに依頼してくることもあります。これを飲むとケアマネは保険者による指導対象になりうるのですが、グループ内だったり、提携先だったりすると、その通りにプランをつくってしまうことも少なくない」
いわば乗っけた分だけ稼げる世界。不要な介護を積み重ね、一人あたりの介護報酬をできる限り高めようという無駄介護が発生しやすいのだという。
有料版の記事【「食事を見守るだけで高額報酬」「高騰する介護保険料は一部業者を潤すだけ」 介護業界の歪んだ「囲い込み」驚くべき実態】では、グループの囲い込みによって横行する“無駄介護”の実態や、知らず知らずのうちに利用者が被っている不利益、いくつかの介護事業を展開するグループで勤務するケアマネージャーの本音、形骸化している規制の現状などについて詳報している。
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